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新富の殺処分完了 1例目周辺卵出荷再開

2011年1月28日
 本県の高病原性鳥インフルエンザ問題は27日、発生2例目の農場を含む大規模養鶏団地(新富町・40万羽)で殺処分が完了し、一つのヤマを乗り切った。また、1例目(宮崎市佐土原町)の発生に伴う移動制限区域内では鶏卵の出荷が再開。終息に向け一歩前進したように見えたが、都農町で新たな感染疑いの鶏が発見され、農家や関係者は複雑な表情を浮かべた。

 養鶏団地では午後5時に鶏の殺処分を終えたが、3例目の発生を受けて作業員らは一様に落胆、疲労の色を濃くした。2日間作業に当たった県中部農林振興局主査の松本哲彦さん(44)は「任された仕事をするだけでした」とうなだれ、都農町での発生疑いについては「早く終わってくれたらいい」と力なく語った。

 今回の処分には、口蹄疫で被害を受けた農家も参加。「お世話になった恩返しをしたかった」という新富町新田、肥育牛農家西森祐一郎さん(31)は被害が拡大したことについて「農家の悲しい気持ちはよく分かる。(鳥インフルエンザの)被害を直接受けていない人も不安な毎日を過ごしているだろう。何か手伝えることがあったら参加したい」と話した。

 卵の出荷再開に制限区域内の採卵鶏農家は安堵(あんど)の声を上げたが、都農町での発生疑いに言葉をなくした。採卵鶏農家の60代男性は28日に1週間ぶりの出荷再開を控え、「客から『早く欲しい』という声もあり、再開はうれしい」。しかし、都農町の発生疑いを知り、「早く県内に制限区域がなくなり、元の状態に戻ってほしい」と不安を隠さない。

 卵から殻を取り除いた「液卵」を1日約7トンを製造し、九州内の食品加工メーカーなどに出荷しているJA宮崎経済連液卵加工センター(宮崎市佐土原町)には、6日ぶりに卵15万個が到着した。

 同経済連飼料養鶏課の蛯原俊介さん(25)は「卵の在庫がなくなり、3日間営業できなかった影響は大きい。フル稼働で盛り返したいが、(感染拡大を受け)より一層の防疫に努めたい」と気を引き締めていた。