生卵保管も限界 鳥フル移動制限、商品価値の低下懸念
2011年1月27日
宮崎市と新富町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、120戸の養鶏農家と最大で400万羽の鶏が移動制限区域に入った。区域内の採卵鶏農家は増え続ける卵の保管に苦慮。ブロイラー農家は制限の長期化による商品価値の低下を懸念する。食鳥処理場や鶏卵加工場などの周辺産業も業務を停止するなど、地域経済に暗い影を落としつつある。
【採卵鶏】新富町で採卵鶏約6万羽を飼育する男性の農場は22日に制限区域に入った。卵の移動が禁止されたため、毎日生まれる約5万個が出荷できず、保管場所の確保に奔走。保管庫はすぐに満杯となり、今のところプレハブを借りて対応しているが、27日にも追加の必要があるという。卵を詰めるコンテナも不足し、代用品を用いているため手間がかかり、パート職員2人を追加雇用した。
制限が解除されても、保存している卵の価格が心配だ。男性は「生鮮用ではなく、加工用に回されるだろう。価格は半分以下に下がる可能性もある」と憂える。
【ブロイラー】西都市のブロイラー農家の男性は29、30日にそれぞれ2万羽の出荷を見込む。出荷延期の影響に言及し、「通常、生後52日で出荷するが、60日を過ぎると体が大きくなり過ぎ、肉も硬くなる。余計に飼育する分の餌代や光熱費も必要」。今後については「餌のカロリーを抑えて体重を抑制しないといけないが、それが製品化できるか疑問」と、不安を募らせる。
卵を孵化(ふか)させ、ブロイラー農家にひよこを出荷する区域内の孵卵場は「出荷できなくなっても、ひよこは1日に数万羽生まれる。飼育施設がないので、殺処分するしかない」と窮状を訴える。
【周辺産業】地域に多くの雇用を生み出す食鳥処理場やGPセンター(鶏卵選別包装施設)も制限区域に入り業務が停止した。
従業員350人を抱える新富町の食鳥処理場「宮崎サンフーズ」は県内外から持ち込まれる鶏を1日5万羽以上食肉処理していたが、現在は鶏の搬入がストップ。同社の管理職男性は「従業員の生活を守ることが第一。少しでも仕事をつくるため、関係各所に交渉していく」と必死だ。
宮崎市佐土原町の「JA宮崎経済連液卵加工センター」は、卵から殻を取り除いた「液卵」を1日8トン製造し、九州内の食品加工メーカーなどに出荷。同センターは「卵の移動だけでも、早く解除してほしい」と切望する。
制限区域外にも影響は及ぶ。都城市でGPセンターなどを展開する「岡崎鶏卵グループ」は、制限区域からの卵の入荷が停止。取扱量が3割減ったという。同社の伊藤高雄専務は「冬はただでさえ卵の生産量が減る。制限区域が長引くと、卵の価格を上げざるを得ない可能性もある」と苦渋の表情を浮かべた。
【写真】移動制限区域内の採卵鶏農場。卵の出荷が滞り、1日に約5万個の卵がたまっていく=26日午後、新富町
【採卵鶏】新富町で採卵鶏約6万羽を飼育する男性の農場は22日に制限区域に入った。卵の移動が禁止されたため、毎日生まれる約5万個が出荷できず、保管場所の確保に奔走。保管庫はすぐに満杯となり、今のところプレハブを借りて対応しているが、27日にも追加の必要があるという。卵を詰めるコンテナも不足し、代用品を用いているため手間がかかり、パート職員2人を追加雇用した。
制限が解除されても、保存している卵の価格が心配だ。男性は「生鮮用ではなく、加工用に回されるだろう。価格は半分以下に下がる可能性もある」と憂える。
【ブロイラー】西都市のブロイラー農家の男性は29、30日にそれぞれ2万羽の出荷を見込む。出荷延期の影響に言及し、「通常、生後52日で出荷するが、60日を過ぎると体が大きくなり過ぎ、肉も硬くなる。余計に飼育する分の餌代や光熱費も必要」。今後については「餌のカロリーを抑えて体重を抑制しないといけないが、それが製品化できるか疑問」と、不安を募らせる。
卵を孵化(ふか)させ、ブロイラー農家にひよこを出荷する区域内の孵卵場は「出荷できなくなっても、ひよこは1日に数万羽生まれる。飼育施設がないので、殺処分するしかない」と窮状を訴える。
【周辺産業】地域に多くの雇用を生み出す食鳥処理場やGPセンター(鶏卵選別包装施設)も制限区域に入り業務が停止した。
従業員350人を抱える新富町の食鳥処理場「宮崎サンフーズ」は県内外から持ち込まれる鶏を1日5万羽以上食肉処理していたが、現在は鶏の搬入がストップ。同社の管理職男性は「従業員の生活を守ることが第一。少しでも仕事をつくるため、関係各所に交渉していく」と必死だ。
宮崎市佐土原町の「JA宮崎経済連液卵加工センター」は、卵から殻を取り除いた「液卵」を1日8トン製造し、九州内の食品加工メーカーなどに出荷。同センターは「卵の移動だけでも、早く解除してほしい」と切望する。
制限区域外にも影響は及ぶ。都城市でGPセンターなどを展開する「岡崎鶏卵グループ」は、制限区域からの卵の入荷が停止。取扱量が3割減ったという。同社の伊藤高雄専務は「冬はただでさえ卵の生産量が減る。制限区域が長引くと、卵の価格を上げざるを得ない可能性もある」と苦渋の表情を浮かべた。
【写真】移動制限区域内の採卵鶏農場。卵の出荷が滞り、1日に約5万個の卵がたまっていく=26日午後、新富町