鳥フル全国へ 強力ウイルス増大か
2011年1月27日
鳥インフルエンザ問題が中部地方の「養鶏王国」愛知県豊橋市にも波及した。「衛生管理が徹底できる」はずの鶏舎で発生しただけに、養鶏農家のショックは大きい。感染はなぜ拡大しているのか。
▽「窓なし」鶏舎
豊橋市を中心とした、農業が盛んな東三河地方。有名な「名古屋コーチン」も飼育され、ウズラ卵の生産量も日本一だ。
問題となった鶏が飼育されていたのは「ウインドレス(窓なし)鶏舎」と呼ばれる。行政側の補助金もあり、鶏舎の主流となっている。しかし換気扇を止めれば羽根の隙間からネズミなどの小動物が出入りし、ウイルスが入り込む可能性がある。消毒の徹底以外に感染を防ぐ手だてはないのが実情だ。ウインドレスの鶏舎を持つ愛知県内の養鶏農家の男性(52)は「これじゃあお手上げ」と嘆く。
▽急激な感染拡大
農林水産省によると、2004年以降、国内の農場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された例は計56農場、約782万羽に上る。「闇ワクチン」の使用など人為的に感染が拡大した可能性もある05年を除くと、年間の感染農場数は04、07年のそれぞれ4農場が最多で時期は1~3月と渡り鳥の飛来シーズンと重なる。
今回は短期間に感染が拡大した。鳥インフルエンザ感染が確認された宮崎、鹿児島の計3例と、愛知県豊橋市のケースはいずれも21日以降に鶏がまとまって死んでおり、感染がほぼ同時期に起きた可能性がある。
▽どこでも発生恐れ
鳥インフルエンザに詳しい鹿児島大の高瀬公三教授(家禽(かきん)疾病学)は「以前に比べ、自然界でウイルスの数が増えているのではないか」と指摘する。
韓国では昨年末から家禽や野鳥で強毒性ウイルスへの感染が相次ぎ、全土に広まる勢いで、収まる気配はない。昨年末には香港で野鳥から強毒性が検出されている。「海外のさまざまな場所で起きているとすれば、そこから日本に入ってきていると考えやすい」
農水省も「中国大陸などから強力なウイルスを蓄えたカモの飛来が増えている可能性がある」(幹部)と指摘。「渡り鳥の来ないところはない。47都道府県どこでも発生する恐れはある」(同)と警戒する。
高瀬教授は「対策をきちんとしている養鶏場でも、防ぐのは難しい。早く感染をキャッチし、周辺にウイルスを広げないことが重要だ」と話している。
【写真】鳥インフルエンザの感染疑い例が出た農場で、防護服姿で石灰をまく県職員=26日午後、愛知県豊橋市
▽「窓なし」鶏舎
豊橋市を中心とした、農業が盛んな東三河地方。有名な「名古屋コーチン」も飼育され、ウズラ卵の生産量も日本一だ。
問題となった鶏が飼育されていたのは「ウインドレス(窓なし)鶏舎」と呼ばれる。行政側の補助金もあり、鶏舎の主流となっている。しかし換気扇を止めれば羽根の隙間からネズミなどの小動物が出入りし、ウイルスが入り込む可能性がある。消毒の徹底以外に感染を防ぐ手だてはないのが実情だ。ウインドレスの鶏舎を持つ愛知県内の養鶏農家の男性(52)は「これじゃあお手上げ」と嘆く。
▽急激な感染拡大
農林水産省によると、2004年以降、国内の農場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された例は計56農場、約782万羽に上る。「闇ワクチン」の使用など人為的に感染が拡大した可能性もある05年を除くと、年間の感染農場数は04、07年のそれぞれ4農場が最多で時期は1~3月と渡り鳥の飛来シーズンと重なる。
今回は短期間に感染が拡大した。鳥インフルエンザ感染が確認された宮崎、鹿児島の計3例と、愛知県豊橋市のケースはいずれも21日以降に鶏がまとまって死んでおり、感染がほぼ同時期に起きた可能性がある。
▽どこでも発生恐れ
鳥インフルエンザに詳しい鹿児島大の高瀬公三教授(家禽(かきん)疾病学)は「以前に比べ、自然界でウイルスの数が増えているのではないか」と指摘する。
韓国では昨年末から家禽や野鳥で強毒性ウイルスへの感染が相次ぎ、全土に広まる勢いで、収まる気配はない。昨年末には香港で野鳥から強毒性が検出されている。「海外のさまざまな場所で起きているとすれば、そこから日本に入ってきていると考えやすい」
農水省も「中国大陸などから強力なウイルスを蓄えたカモの飛来が増えている可能性がある」(幹部)と指摘。「渡り鳥の来ないところはない。47都道府県どこでも発生する恐れはある」(同)と警戒する。
高瀬教授は「対策をきちんとしている養鶏場でも、防ぐのは難しい。早く感染をキャッチし、周辺にウイルスを広げないことが重要だ」と話している。
【写真】鳥インフルエンザの感染疑い例が出た農場で、防護服姿で石灰をまく県職員=26日午後、愛知県豊橋市