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鳥インフルエンザ

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県民生活影響じわり 推移見守る関係者

2011年1月26日
 県内で高病原性鳥インフルエンザが確認されてから4日たった25日、感染拡大を懸念したイベント中止や卵の供給量への懸念など県民生活への影響が少しずつ見え始めた。観光や飲食業などへの影響は今のところなく、関係者は今後の推移を見守っている。

 41万羽を殺処分中の新富町では、防疫作業員の待機所の公民館と隣接する町体育館を閉鎖。両施設で近く予定していた弓道、柔道大会を中止する。都城市高崎町で23日に開かれる予定だったクロスカントリー大会も中止されるなど、一部で自粛の動きがみられる。

 人と鳥の接触を制限する動きも出ている。約760羽の鳥類を飼育する宮崎市フェニックス自然動物園は鳥をおりに入れて入園者が接触できないようにしたほか、フラミンゴショーを休止。宮崎、都城市などの小、中学校でも鳥の飼育小屋への児童、生徒の立ち入りを禁止するなどの措置を取っている。

 県内トップの鶏卵産出額を誇る新富町などの多くの採卵鶏農家が移動制限区域に入ったことで、鶏卵の価格や供給量などに懸念も。2例の同区域内から約半分を納入し、県内に数店舗を展開しているスーパーは「減少分を別ルートから調達して何とか補っている」。しかし「(卵を納入する)問屋から『数量に限りがあり特売を控えて』との要望がある」とも話し、価格への反映を指摘している。

 ただ、感染例が2例にとどまっていることもあって、観光や飲食業などへの影響は今のところ表には出ていない。県ホテル旅館生活衛生同業組合の植田恒雄理事長は「発生を受けた宿泊のキャンセルなどは報告されていない」として事態を見守る考え。県外の旅行代理店も「宮崎への旅行を勧めていいか全国の支店から問い合わせがあるが、キャンセルなどは確認されていない」などとしている。

 飲食業を含む商工業についても、県商工政策課が「今は発生したばかりの段階で、影響は報告されていない」としている。

 イベント開催について河野俊嗣知事は「主催者は迷うかもしれないが、消毒の徹底をお願いしたい」と、現時点では防疫対策を徹底すれば問題ないとの認識を示している。

【写真】児童に注意を呼び掛ける看板と防鳥ネットが張られた飼育小屋=25日午後、宮崎市佐土原町・広瀬北小学校