【緊迫 鳥インフルエンザ】(上)
2011年1月25日
■迅速作業で拡大防げ 自衛隊投入450人態勢
本県で発生した高病原性鳥インフルエンザ問題は、県内最大の養鶏団地で2例目を確認するという緊迫の局面を迎えた。2例目に伴う殺処分対象は前回2007年(3例、20万羽)の2倍となる41万羽。国内でも数例しかない大規模な殺処分・埋却作業となる。昨年経験した口蹄疫と同じ轍(てつ)を踏まないよう、感染拡大の防止には作業の迅速さが問われる。加えて、野鳥によって「空から降ってくる」といわれるウイルスへの備えも再点検が必要だ。
新富町の養鶏団地で41万羽の殺処分が決まった23日夜。河野俊嗣知事は「とにかくボリュームが大きい。早急に(作業に)取り掛かりたい」と危機感をあらわにした。
農林水産省動物衛生課によると、養鶏場での高病原性鳥インフルエンザ発生1件当たりの最多処分数は、茨城県の弱毒タイプのウイルスが見つかった事例で約77万羽(05年)。本県1例目と同じ強毒タイプでは京都府の22万5千羽(04年)だ。
京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長の大槻公一教授(獣医微生物学)は「宮崎市の1例目の対応は模範的だった。この作業の迅速さが最も大切だ」と語る。
昨年の口蹄疫では殺処分した牛や豚の埋却場所の確保が追い付かなかったことが感染拡大を許した一因とされる。
04年の京都府の事例でも埋却場所の確保に苦慮。地元の森林組合所有の山を削って埋却地を確保したが、周辺住民との約束で3年後に掘り起こして焼却した。茨城県では05年、埋却場所の確保を断念。焼却処分を選択している。
県は今回、2例目の埋却地として養鶏団地内と隣接地2カ所(計1・4ヘクタール)を確保。幅6メートル、深さ4メートル、長さ50メートルの穴を数本、大きなプール式の穴も掘削している。養鶏場内に残るふんや卵もここに埋める方針で、県は「必要な面積は十分確保できた。団地が広い場所にあったのは救い」と胸をなで下ろす。
2例目養鶏場の鶏舎は通路両側に鶏を飼育する3段ケージを設置する構造。京都府畜産課によると、04年の事例もこれに近い。同課担当者は「高いケージに上って作業する必要があり、危険もあった。宮崎でも作業が進めにくくないか心配だ」と話す。
24日は殺処分に県職員約200人を投入。約2万7千羽の処分を終えた。25日からは自衛隊員が殺処分や埋却作業に加わり、最大450人態勢となる。
茨城県畜産課の担当者は「県は発生状況や清浄性確認などにも力を割く必要が出てくる。処分もかなり長期にわたるので、国の人的支援も鍵を握るはずだ」と指摘。県畜産課の岩崎充祐家畜防疫対策監は「自衛隊の応援でペースを倍くらいまで引き上げたい」と表情を引き締めた。
【写真】高病原性鳥インフルエンザ感染疑いの2例目となった養鶏場で殺処分に従事する作業員=24日午前、新富町三納代(県提供)
本県で発生した高病原性鳥インフルエンザ問題は、県内最大の養鶏団地で2例目を確認するという緊迫の局面を迎えた。2例目に伴う殺処分対象は前回2007年(3例、20万羽)の2倍となる41万羽。国内でも数例しかない大規模な殺処分・埋却作業となる。昨年経験した口蹄疫と同じ轍(てつ)を踏まないよう、感染拡大の防止には作業の迅速さが問われる。加えて、野鳥によって「空から降ってくる」といわれるウイルスへの備えも再点検が必要だ。
新富町の養鶏団地で41万羽の殺処分が決まった23日夜。河野俊嗣知事は「とにかくボリュームが大きい。早急に(作業に)取り掛かりたい」と危機感をあらわにした。
農林水産省動物衛生課によると、養鶏場での高病原性鳥インフルエンザ発生1件当たりの最多処分数は、茨城県の弱毒タイプのウイルスが見つかった事例で約77万羽(05年)。本県1例目と同じ強毒タイプでは京都府の22万5千羽(04年)だ。
京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長の大槻公一教授(獣医微生物学)は「宮崎市の1例目の対応は模範的だった。この作業の迅速さが最も大切だ」と語る。
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昨年の口蹄疫では殺処分した牛や豚の埋却場所の確保が追い付かなかったことが感染拡大を許した一因とされる。
04年の京都府の事例でも埋却場所の確保に苦慮。地元の森林組合所有の山を削って埋却地を確保したが、周辺住民との約束で3年後に掘り起こして焼却した。茨城県では05年、埋却場所の確保を断念。焼却処分を選択している。
県は今回、2例目の埋却地として養鶏団地内と隣接地2カ所(計1・4ヘクタール)を確保。幅6メートル、深さ4メートル、長さ50メートルの穴を数本、大きなプール式の穴も掘削している。養鶏場内に残るふんや卵もここに埋める方針で、県は「必要な面積は十分確保できた。団地が広い場所にあったのは救い」と胸をなで下ろす。
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2例目養鶏場の鶏舎は通路両側に鶏を飼育する3段ケージを設置する構造。京都府畜産課によると、04年の事例もこれに近い。同課担当者は「高いケージに上って作業する必要があり、危険もあった。宮崎でも作業が進めにくくないか心配だ」と話す。
24日は殺処分に県職員約200人を投入。約2万7千羽の処分を終えた。25日からは自衛隊員が殺処分や埋却作業に加わり、最大450人態勢となる。
茨城県畜産課の担当者は「県は発生状況や清浄性確認などにも力を割く必要が出てくる。処分もかなり長期にわたるので、国の人的支援も鍵を握るはずだ」と指摘。県畜産課の岩崎充祐家畜防疫対策監は「自衛隊の応援でペースを倍くらいまで引き上げたい」と表情を引き締めた。
【写真】高病原性鳥インフルエンザ感染疑いの2例目となった養鶏場で殺処分に従事する作業員=24日午前、新富町三納代(県提供)