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口蹄疫教訓生かせ 職員ら迅速対応

2011年1月23日
 高病原性鳥インフルエンザのウイルスが検出された宮崎市佐土原町の養鶏場で県は22日、飼育される1万羽余りの鶏を殺処分した。早朝から準備を進める防護服姿の作業員に周辺住民は驚き、その後も落ち着かない様子。県や市町村は感染拡大や風評被害など口蹄疫の“再現”を防ごうと対応に追われ、消毒ポイントでは自発的に消毒を受ける市民の姿も見られた。

 同農場では同日早朝から、市の職員らが殺処分の準備となるテント設営や消毒用の消石灰など資材の運び込みを開始。午前9時すぎには大型バス3台が到着し、作業員らが厳しい表情で次々と農場へ向かった。農場隣の畑を所有する中野喜市さん(87)は「朝、農作業に来て周辺の様変わりにびっくりした」と不安げに語った。

 同市佐土原総合支所産業振興課の職員ら8人は午前7時半から発生農場周辺の住民約210戸を訪問し、発生状況や今後の防疫作業について説明。消毒への協力や風評被害の防止に理解を求めるチラシを配布した。農場に近い西野久尾自治会の佐藤陸紀会長(78)は「口蹄疫の教訓もあり、行政の対応は早い」と評価。「住民の安全のため、粛々と作業を進めてほしい」と求めた。

 戸敷正市長は農場から約300メートル離れた市道から防疫作業を視察。「口蹄疫のような風評被害には気をつけたい。地元の協力を得ながら、早急な防疫完了を目指す」と力を込めた。

 移動制限区域に入った西都市や高鍋、新富、国富町、4年前に発生した日向市、口蹄疫で大きな被害を受けた川南、都農町などはそれぞれ対策本部を設置。農家への情報提供や消石灰の在庫確認に追われた。都農町は同町自衛防疫推進協議会を開き、発生時には独自マニュアルで迅速に対応することを確認。高鍋町は殺処分後の処理について、焼却と埋却の両方で対応できるように埋却場所を早急に確保するよう農家に連絡した。

 JA宮崎中央会と同経済連は関係部署の部課長ら30人を集めた会議を開き、消毒ポイントや消毒剤の備蓄状況を確認した。

 県などが設置した車両の消毒ポイントでは、消毒に協力する市民の姿が見られた。同市佐土原町東上那珂の佐土原地域福祉センター駐車場で消毒を受けた同市大島町、主婦西山緒子さん(41)は「口蹄疫のような感染拡大を防ぐためできることは協力したい」と話していた。

【写真】殺処分された鶏を農場から運び出すトラック=22日午後、宮崎市佐土原町上田島

■発生ドキュメント


【21日】
午後5時15分 宮崎市佐土原町の養鶏場から宮崎家畜保健衛生所(家保)に鶏の異常死について通報
同9時半    県が河野俊嗣知事を本部長とする対策本部を設置
同9時50分  県が鳥インフルエンザ疑いについて記者会見
【22日】
午前4時    宮崎家保で遺伝子検査の結果、高病原性の鳥インフルエンザウイルスを検出したと県が発表
同7~8時   幹線道路など12カ所に消毒ポイントを設置。その後も随時増設
同10時25分 養鶏場で飼育する1万240羽の殺処分を開始
同11時半   松木謙公農水政務官が県庁訪問。河野知事と意見交換
午後0時半   河野知事が養鶏場を視察
同1時半    松木政務官と河野知事が宮崎市跡江の消毒ポイントを視察
同2時55分  鶏の殺処分を完了
同4時50分  エコクリーンプラザみやざきで鶏の焼却処分を開始