「時間動き始めた」~日南に避難後帰還した竹下さん
2012年5月10日
東日本大震災で宮城県気仙沼市の自宅アパートが半壊し、日南市南郷町に避難していた竹下梨香さん(32)が、1年ぶりに地元に戻って10日で2カ月を迎える。仮設住宅での暮らしにも少しずつなじんできた竹下さんは「自分の中で被災したときのまま止まっていた時間が、少しずつ動き始めた」と感じている。
■仮設住宅で一歩ずつ
竹下さんは、カツオ一本釣り漁師の夫直樹さん(38)の出身地・日南市に昨年3月22日から避難していたが、長男響ちゃん(4)の幼稚園入園に合わせ、今年3月10日に気仙沼に戻った。あらためて見る古里は「復旧が進んでいると思っていたけど、がれきがなくなっただけ。さら地のままだった」。
日南では「みんなを置いて逃げてしまった」と自らを責めることもあった竹下さん。しかし、温かく迎え入れてくれた友人たちに、「被災地に住み続けている人の方が明るい」と感じた。竹下さんは「私は被災したときで気持ちが止まっていた。でもこっちの人は、少しずつ元に戻っていく手応えみたいなものがあるのかも」と考えている。
一方、夫を亡くした友人(32)からは「いまだに仕事で帰ってこないだけだと錯覚する」と打ち明けられた。同じ被災者でも気持ちに大きな差があることも痛感し「仮設住宅では、互いの被災状況には触れられない」と話す。
夫直樹さんは今、漁の真っ最中。竹下さんは中学校の運動場に建設された6畳二間の仮設住宅で響ちゃん、次男楓人ちゃん(2)と3人で暮らす。幼稚園の送り迎えや家事に追われ、被災した街並みにも不思議と慣れてきた。竹下さんは「いつかお世話になった日南の人たちを気仙沼に招きたい。その日まで、しっかり生きていく」と力強く語った。
【写真】長男響ちゃんを幼稚園に送り届けた後、仮設住宅の周囲で次男楓人ちゃん(右)と遊ぶ竹下さん=宮城県気仙沼市
■仮設住宅で一歩ずつ
竹下さんは、カツオ一本釣り漁師の夫直樹さん(38)の出身地・日南市に昨年3月22日から避難していたが、長男響ちゃん(4)の幼稚園入園に合わせ、今年3月10日に気仙沼に戻った。あらためて見る古里は「復旧が進んでいると思っていたけど、がれきがなくなっただけ。さら地のままだった」。
日南では「みんなを置いて逃げてしまった」と自らを責めることもあった竹下さん。しかし、温かく迎え入れてくれた友人たちに、「被災地に住み続けている人の方が明るい」と感じた。竹下さんは「私は被災したときで気持ちが止まっていた。でもこっちの人は、少しずつ元に戻っていく手応えみたいなものがあるのかも」と考えている。
一方、夫を亡くした友人(32)からは「いまだに仕事で帰ってこないだけだと錯覚する」と打ち明けられた。同じ被災者でも気持ちに大きな差があることも痛感し「仮設住宅では、互いの被災状況には触れられない」と話す。
夫直樹さんは今、漁の真っ最中。竹下さんは中学校の運動場に建設された6畳二間の仮設住宅で響ちゃん、次男楓人ちゃん(2)と3人で暮らす。幼稚園の送り迎えや家事に追われ、被災した街並みにも不思議と慣れてきた。竹下さんは「いつかお世話になった日南の人たちを気仙沼に招きたい。その日まで、しっかり生きていく」と力強く語った。
【写真】長男響ちゃんを幼稚園に送り届けた後、仮設住宅の周囲で次男楓人ちゃん(右)と遊ぶ竹下さん=宮城県気仙沼市