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知見次代へ 土呂久鉱害45年

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【第2章・認定患者】(1)被害者

2016年1月27日
潜伏期間長く検診今も

 時折粉雪が舞う高千穂町。佐藤始さん(80代男性・仮名)は、旧土呂久鉱山で患った振動病の症状がある手をストーブで温めていた。佐藤さんは閉山後50年以上がたつ昨年3月、慢性ヒ素中毒患者と認定された。土呂久生まれの佐藤さんは、鉱山の全盛期をよく覚えている。猛毒の亜ヒ酸を製造する「亜ヒ焼き」の煙が、谷に張り付く集落を霧のように包んでいた。家畜の牛は病気で死に、野菜やシイタケは育たない。大人たちは改善を求め、県や役場に何度も掛け合ったが聞き入れられなかった。

【写真】慢性ヒ素中毒の患者認定を昨年3月に受けた佐藤さん(仮名)。生活の中で時々、鉱害に苦しんだ子ども時代の土呂久を思い出す=13日、高千穂町

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