みやざきマンゴー物語(下)
2017年5月16日
品質、産地、信用 守り抜きたい
産地、生産者番号を直接印字して 信用を勝ち得た完熟マンゴー
2007年、東国原知事が就任し、「みやざき完熟マンゴー」がテレビなどで紹介されると、全国から注文が殺到。しかしその反面、ブームを悪用した他県産や輸入物とすり替える偽装が発生し、「宮崎のマンゴーはこの程度か」「本当に宮崎産なのか」と風評被害を受けた。
新技術導入で生産者の意識向上
「産地化、販路拡大へ一致団結してきた生産者の苦労と努力がないがしろにされるのは許せない」。1個1個の糖度を測る光センサー選果機や、生産情報を果皮に直接印字する機器をJA宮崎中央、はまゆう、こばやし、西都の主力産地では導入、ブランドを守る取り組みが始まった。
その結果、厳格な独自基準をクリアした最高級品「太陽のタマゴ」は市場や消費者の信用が高まった。「産地や生産者番号が明記されることで、生産者のブランド意識がさらに上がった」とJA宮崎経済連園芸販売課の廣瀬誠博さん(46)は話す。
産地・ブランド維持 技術確立へ全力
今年の初競りでは宮崎市場最高値の40万円で取引された
県内の生産量は12年をピークに、年間1000㌧前後で推移、今年のJA宮崎経済連の出荷計画では、12JAで1047㌧を見込む。県果樹振興協議会亜熱帯果樹部会(10JA、247戸)会長で、JAはまゆう果樹部会亜熱帯果樹専門部(49戸)部長の河野英利さん(51)は1997年からマンゴーと向き合い、現在、日南市南郷町で53㌃を栽培。「マンゴーは繊細で奥が深い。何年経験しても難しい」と話す。
栽培データ蓄積 後継者へ道つなぐ
「産地一丸となって消費者に信用されるマンゴーづくりに励みたい」と話す県果樹振興協議会亜熱帯果樹部会の河野英利会長㊨とJAはまゆうの金丸祐貴係長
産地間はもちろん、他の贈答用果実との競争も激化し始めている。河野会長は「消費者に選んでもらえる果物のトップになれるよう、これからも生産者、JA、行政との連携で産地一丸となって取り組みたい」と力を込めた。