みやざきお茶物語
2017年7月18日
安全・安心へJGAP認証取得

宮崎経済連直販が販売する「みやざき茶」新茶セット
機械化や好景気 生産拡大後押し
本県では古くから山間に自生するヤマチャを飲んでいたと言われる。県北山間部に青柳製と呼ばれる釜炒り茶の製法が朝鮮半島から伝わったのが1600(慶長5)年ごろ。煎茶は1751(宝暦元)年、都城島津家の医師池田貞記が京都府宇治で茶作りを学び、藩内に広めたのが始まりとされる。
江戸時代末期から生糸と並ぶ国の重要な輸出品として、各地で栽培が盛んとなり、本県では明治時代から戦後まで釜炒り茶と煎茶のほか、紅茶も製造されていた。1965(昭和40)年代には、原料用甘藷の生産減に伴う代替え作物として茶が植えられ、県内の栽培面積は同年1330㌶に。茶生産に係る機械化も後押しし、徐々に面積が拡大していくこととなった。
製茶工場6カ所を整備 ブームで取扱量ピーク

1977(昭和52)年のお茶の摘採風景(みやざき茶推進会議提供)
2004年度には茶のペットボトルドリンクブームが起き、同経済連の取扱量は2720㌧、販売高34億円とピークを迎えた。しかし、ブームも落ちついた近年は単価の低迷が続く。同経済連は①品質重視②安全性のアピール③相場に影響を受けない経営―を重点項目に挙げる。
安全な製品求める 取引先増える

「安全・安心で魅力ある茶作りを進めたい」と話すJA児湯茶工場運営委員会の松村幸一会長
39戸が157㌶でお茶を栽培するJA児湯では、うち17戸が15年にJA系統では県内で初めて認証を取得。現在は18戸に増え、さらに認証を目指す農家も現れている。
認証を受けた1人で新富町新田、松村幸一同JA茶工場運営委員会会長(55)は「農家の合意形成から始まり、月1回の研修を重ねて取得まで2、3年掛かった」と振り返る。JGAPは東京五輪・パラリンピックで選手村などへの食材の調達要件になる予定で、同JAにも取引先から「JGAP製品がほしい」との要望が増えている、という。
松村会長は「歴史を受け継ぎながら、安全・安心で、若者が参入できる魅力ある茶作りを進めたい」と力を込めた。