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【東奔西走】 宮崎市出身・「たちかわ創造舎」チーフディレクター、舞台演出家 倉迫 康史さん

2018年5月28日

日本の演劇文化高める


「日本の演劇文化を高める」という目標に向かって走り続けている倉迫さん

「日本の演劇文化を高める」という目標に向かって走り続けている倉迫さん

 気鋭の舞台演出家として知られる宮崎市出身の倉迫康史さん(48)=東京都町田市=は今、東京都立川市にある「たちかわ創造舎」でチーフディレクターをしている。閉校となった旧多摩川小の校舎や体育館を文化の発信拠点に活用、地域の活性化に生かそうと取り組んでいる。

 演劇の道に入ったのは早稲田大卒業後。バブル経済の崩壊で落ち込む社会を見て「日本には何か誇れるものが必要だ」と考え、好きな演劇の文化を高めることで貢献しようと考えたのがきっかけだ。

 いくつかの劇団を経ていくうちに、平田オリザさんら日本を代表する劇作家、演出家に出会い、演劇が地域社会に溶け込んでいる欧米の実態を学んだ。演劇文化を高めるという目標へのヒントを得た思いだった。

 その後、閉校した校舎を活用した文化芸術の拠点づくりに関わるようになり、2015年から「たちかわ創造舎」の事業責任者のチーフディレクターに就いている。

 「たちかわ創造舎」は立川市に管理運営を委託されてスタート。劇団やアーティストが教室などの空きスペースを借りて活動しているほか、テレビドラマの撮影場所を提供するフィルムコミッション事業も展開している。自身が主宰する劇団「Theatre Ort(シアター・オルト)」をはじめ、さまざまな文化芸術団体が出演するステージで市民を楽しませる事業も活発だ。

 最近では「演劇文化を高めるという大学を卒業するころに掲げた目標に近いところにいる」と思えるようになった。

 古里での活動にも熱心で、8月には宮崎市のメディキット県民文化センターで公演する世界初のオペラ版「赤毛のアン」で台本・演出を担当。アンを取り巻く人々の「群像劇」という側面を強くするなど工夫を凝らしているそうで、「期待してほしい」と意気込んでいる。