火山噴火
宮崎・鹿児島県境に位置する霧島連山は、20を超える火山体を抱えています。
有史以降の活動は、主に御鉢と新燃岳で噴火を繰り返してきました。
新燃岳では2011年に本格的なマグマ噴火が発生。近隣の住民は避難生活を強いられ、多くの県民が大量の火山灰や屋根を壊すほど降り注ぐ噴石、空振などの被害に見舞われました。御鉢は1923(大正12)年の噴火以降は噴火の記録はありませんが、霧島火山中、最も活動的な火山です。
登山者も多い霧島連山。観測態勢は充実してきましたが、「霧島火山防災マップ」(環霧島会議作成)などを参考に、噴火災害に備えておきましょう。
新燃岳噴火1ヶ月
2017年11月11日紙面掲載
噴火警戒レベル「3」(入山規制)が続く霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)。10月11日に灰色の噴煙を上げ、約6年ぶりに起こった噴火は麓の町を苦しめた。火山灰は道路や車に積もったほか、農作物にも付着。灰の除去作業にも追われ、住民生活に影響を与えた。
新燃岳(小林市・鹿児島県霧島市) 活動期入った可能性
2014年1月26日紙面掲載
新燃岳(1421メートル)は本県と鹿児島県の境にあり、20以上の火山でできた霧島連山の一つ。霧島連山は約60万年前から活動を始め、小林カルデラ、加久藤カルデラをつくり成長。新燃岳は10万年前からの活動で誕生した。
霧島連山の中で、噴火回数の最多は御鉢(1420メートル、最新の噴火は1923年)だが、江戸時代以降で最大の噴火を起こしたのは新燃岳だ。
最大の噴火は諸県郡の集落を焼失して人口が激減した、1716〜17(享保元〜2年)の享保噴火。噴出物は2011年噴火(2300万トン)の約10倍に相当する約2億トンに上る。新燃岳ではこの2回を含め、軽石を出す大きな噴火が1万年間に4回発生。特に享保、11年噴火と最近300年間の頻度は高い。産業技術総合研究所の及川輝樹主任研究員は「長期的な傾向として新燃岳は活動期に入った可能性がある。過去も含む噴火を検証し、防災体制に生かす必要がある」と話す。
霧島火山防災マップ
霧島連山の周辺自治体でつくる「環霧島会議」は「霧島火山防災マップ」を作成し、今後、噴火口となる可能性の高い4か所(新燃岳、御鉢、えびの高原周辺、大幡池)で、大規模噴火が起こった場合の災害区域予測図や立ち入り禁止区域を示しています。
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噴火警戒レベル表
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と、防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。
種別 | 名称 | 対象範囲 | レベルと キーワード | 説明 | ||
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火山活動の状況 | 住民等の行動 | 登山者・入山者への対応 | ||||
特別警報 | 噴火警報 (居住地域) 又は噴火警報 | 居住地域及びそれより火口側 | 避難 | 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある。 | 危険な居住地域からの避難等が必要(状況に応じて対象地域や方法等を判断)。 | |
避難準備 | 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される(可能性が高まってきている)。 | 警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要(状況に応じて対象地域を判断)。 | ||||
警報 | 噴火警報(火口付近) 又は火口周辺警報 | 火口から居住地域近くまで | 入山規制 | 居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。 | 通常の生活(今後の火山活動の推移に注意。入山規制)。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。 | 登山禁止・入山規制等、危険な地域への立入規制等(状況に応じて規制範囲を判断)。 |
火口周辺 | 火口周辺規制 | 火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。 | 通常の生活。 | 火口周辺の立入規制等(状況に応じて火口周辺の規制範囲を判断) | ||
予報 | 噴火予報 | 火口内等 | 平常 | 火山活動は静穏。 火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる。(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)。 | 特になし(状況に応じて火口内への立入規制等)。 |
情報提供:気象庁 環霧島会議