延岡竜巻1カ月 被災者住宅再建費重荷に
2019年10月21日
「生活を切り詰めるしかない」「疲れ切った」。台風17号接近に伴う竜巻被害から22日に1カ月を迎える延岡市で、住宅再建費が重荷になっている被災者がいる。ローンとの二重の支払いに苦しむ人、頼りにしていた保険で修理費が賄えず頭を抱える高齢者らだ。行政による支援は現段階で見通せず、不安を募らせる。
「被災するつらさが身に染みた」。同市日の出町1丁目に住む40代の会社員男性は、自宅の壁に穴が開き、瓦や窓ガラスが破損。100万円を超す修理費は損害保険金で賄いきれず、月5万円の住宅ローンとの二重負担を強いられることになった。「子育て中で生活に余裕がなく、重い出費。もうくたびれた」
台風15号で被災した千葉県に関しては、国土交通省が従来対象外だった一部損壊住宅について、屋根の修理費を補助する判断を下した。一方で同市の竜巻被害に対する補助は決まっていない。男性は「被災者の数が少ないと国は助けないのか。一人一人が受ける痛みは同じなのに」と憤る。
同市危機管理室によると、竜巻被害に遭った住宅は522棟。うち517棟を占める一部損壊に対して、現時点で適用できる再建支援制度はない。半壊以上の5棟についても、災害救助法による支援が適用されるか未定で、受けられるのは県・市町村合同の「災害時安心基金」による見舞金(最大20万円)のみという。内閣府の激甚災害指定に伴う補助は住宅再建を対象外としている。
屋根が吹き飛んで自宅が半壊した同市中島町3丁目の70代男性は、簡易保険加入者向けの見舞金では修理費85万円を賄えないと、被災後に知った。「災害に備えていたつもりなのに。生活費を削っても到底足りないので一部の工事は諦めるしかない」と涙ぐむ。今も雨漏り対策に追われているという同2丁目の60代女性は、「行政が手を差し伸べてくれることで気持ちが救われる。金額の問題じゃない」と支援を求める。
同室は、既存の支援策を住宅再建に援用できないか国に求めるなど、支援の手だてを模索中。羽田克広室長は「経済的な補助を必要としている市民の不安を少しでも早く払拭(ふっしょく)したい」と話す。
【写真】損壊した住宅の再建について話し合う被災住民ら=延岡市中島町2丁目
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