想定甘く建設費3倍 延岡市、津波避難施設の設計変更
2019年12月12日
延岡市は、土々呂地区に建設予定の複合型津波避難施設について、基本計画段階で3億円だった概算の工事費を約3倍の8億8千万円とすることを明らかにした。津波の力が想定より大きいことから強度を高くし、液状化対策も講じる必要があるため。完成は2020年度から遅れて21年度となり、住民は「早く万全の備えを」と求めている。
同地区は津波の最短到達時間の17分以内に住民が逃げ込める指定緊急避難場所がない「特定津波避難困難地域」。市は高さ約13メートルの3階建て避難施設を建設する計画を立て、17、18年度、基本計画を策定した。
しかし、18年度の実施設計で建物が受ける「波力」を計算したところ、市内の同種施設よりも2~3倍強く、基本計画の構造では破損の恐れがあると判明。また、地質調査により地震で地盤が液状化することが分かった。
このため、建物の柱やはりを鉄筋コンクリート造りから鉄骨鉄筋コンクリート造りに強化。また、2階の壁を取り除いて柱とはりだけにする。基礎はくいを太くし、液状化を防ぐ地盤改良を行うよう見直した。避難想定人数の380人や、平時に利用する集会・防災学習室、備蓄倉庫の設置は当初の計画通り。
市は11月、同地区の区長会役員へ計画変更を伝えており、今後住民に説明する。建設予定地を含む土々呂・茶屋区の福永康男区長(71)は「完成が遅れるのは不安だが、命を守るしっかりした施設にしてほしい」と訴えている。
【写真】複合型津波避難施設の建設予定地=延岡市土々呂
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