道の駅県内8カ所防災拠点に 設備、ソフト充実課題
2020年1月10日
幹線道路沿いにあり、広い敷地を持つ「道の駅」。相次ぐ大規模災害を受け、災害時の避難所や支援拠点として注目を集めている。県内10市町にある17カ所のうち、自治体の地域防災計画で防災拠点として位置付けられているのは8カ所。防災機能を高める動きも見られるが、予算確保の難しさや災害時対応マニュアルの見直しなどハード、ソフト両面で課題があり、機能充実は容易ではない。
道の駅は全国に1160カ所(今年6月現在)。2004年の新潟県中越地震や16年の熊本地震などでは、被災者の一時的な避難所やボランティアらの救援活動拠点となった。これを受け、国土交通省は今年10月、災害時の拠点機能を充実させ、20年から「防災道の駅」として順次認定する方針を示した。
ただ、もともと道の駅の登録要件には防災面は含まれていない。総務省九州管区行政評価局の17年度調査では、九州116カ所のうち、重要設備とされる非常用電源や貯水槽、災害時対応トイレのうち、一つでも整備しているのは41カ所。地域防災計画で防災拠点として位置付けられているのは約3割にとどまる。
県内で防災拠点となっている道の駅の一つ、延岡市の「北川はゆま」では1997年、台風19号による水害で6300人分の炊き出しが行われた。現在は国や市の補助を受け、自家発電設備の設置や防災倉庫の拡充などに段階的に取り組む。
2013年に開設した「つの」は貯水槽や倉庫などを備える。ただ、こうした設備は施設間で差があり、「つの」の福地清己駅長は「施設の中には予算確保が難しく、設備の充実はままならないという声も上がっている」。
ソフト面の強化も欠かせない。「北川はゆま」の脇坂光一支配人は「来年からは消防訓練に合わせ防災訓練も行うが、地震・津波災害時に対応するためのマニュアルの見直しは進んでいない」と明かす。「つの」の福地駅長は「災害時、行政と道の駅それぞれの役割を明確化するためにも、連携協定締結が不可欠」と訴える。
宮崎大地域資源創成学部の熊野稔教授(地域都市計画)は地理的条件も踏まえた上で、「災害対応が可能な道の駅では自治体がその重要性を認識し、地域防災計画に盛り込み、対策を主導する必要がある」と指摘する。
【写真】災害時には防災拠点として機能する道の駅「つの」。左は貯水槽、右は防災用資機材の倉庫=28日、都農町川北
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