豪雨拡大県内避難進まず 「自分は大丈夫」思い込み?
2020年7月9日
県内で大雨が続き、避難所の開設が相次ぐ中、住民の避難が進まず自治体関係者が危機感を募らせている。関係者は新型コロナウイルスの感染対策で親戚宅などへの「分散避難」もあるとみる一方、「『自分は大丈夫』と思い込んでいる人もいるのでは」と指摘。9日以降も局地的に大雨が降る見込みで、「命を守るために早めの避難を」と求めている。
8日明け方にかけて非常に激しい雨が降り、1万8769世帯、3万7111人に避難勧告が発令された日南市。避難者は県のまとめで15世帯17人(8日午前10時時点)で、午前中に避難勧告が出た6日も7世帯9人にとどまった。
市は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4月末から災害時の分散避難を呼び掛け。市総務・危機管理課の和田考巨(やすきよ)課長は「分散避難が進んだとみられるが、避難情報が伝わらなかった人もいるかもしれない。今後、実態を分析する必要がある」と話す。
串間市も8日、9145世帯1万8210人を対象に避難勧告や避難準備情報を出したが、避難所に身を寄せたのは9世帯13人。今後は「危険性が増せば自治会長から避難を呼び掛けてもらうなどの対策を取りたい」(市危機管理課)考えだ。
新富町では6日、土砂災害や一ツ瀬川が氾濫する危険が高まり避難指示や勧告が出たが、避難者は8世帯12人。対象地域に住む60代女性は「川の状況を見に行ったら安全と思い、自宅にとどまった」と明かす。
町総務課危機管理係の税田賢司課長補佐は「最近は町内で大きな災害が発生していないことが避難者が少ない一因では。余裕を持って行動してほしい」と求める。
一方、小林市須木の内山地区では、熊本県南部を襲った今回の豪雨災害を受け、自治会の役員が住民に連絡を入れて避難を促している。
同地区の馬場イチ子区長は「5日夜から6日にかけての大雨でも避難をためらう人もいた。高齢者が多い地区なので住民同士で支え合いが必要」と語る。
NPO法人県防災士ネットワークの伊藤照夫事務局長(71)は「自治体の避難情報が遅れる可能性もある。住民自らが情報を集め、命を守る行動を取ってほしい」と話している。
【写真】大雨で避難所に身を寄せる住民=8日午前8時52分、串間市民総合体育館
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