椎葉土砂崩れ4人不明 台風10号 1人負傷自力で脱出 事務所、住宅巻き込まれる
2020年9月8日
台風10号の大雨による土砂崩れで4人が行方不明となっている椎葉村下福良の現場では、県警や地元消防団などが8日午前7時から2日目の捜索を再開した。同日から大阪府警の広域緊急援助隊や日向市消防本部が加わり、捜索態勢は約250人に拡大。現場下を流れる十根川下流の耳川まで範囲を広げたが、手掛かりはなく、安否は不明のまま捜索は午後8時に終了。9日朝に3日目の捜索を再開するが、生存率が著しく下がる「発生後72時間」が同日夜に迫る。現場では知人らが一刻も早い救出を祈る姿があった。
村によると、土砂崩れは6日午後8時~8時半ごろ発生。建設会社「相生(あいおい)組」の社屋と事務所、相生秀樹社長(70)の自宅が土砂にのまれた。自宅にいた相生社長と妻勝子さん(68)、事務所2階にいた長男泰孝さん(39)といずれも20代のベトナム人技能実習生チャン・コン・ロンさん、グエン・ヒュー・トアンさんが巻き込まれ、相生社長は土砂から自力で脱出したが肋骨(ろっこつ)を折るけがをした。
8日の捜索では重機やスコップなどを使って土砂や倒木の撤去作業が行われた。十根川に4人が建物ごと流された可能性もあるとみて、約6キロ下流にある耳川の岩屋戸ダムまでを目視で捜索した。また、土砂災害専門家(TEC-FORCE高度技術指導班)が現場を視察し、発生原因を分析した。
同村総務課の椎葉和博課長は「72時間というタイミングが迫り、捜索は大変困難な状況。時間との闘いになる」と切迫感をにじませていた。
勝子さんの遠縁で、家族全員と交流があったという同村下福良の農林業那須勝義さん(70)は2日連続で現場を訪れた。「ここに来ると、胸が詰まる。捜索が難航していてもどかしさはあるが、何とか見つかってほしい」と祈るように話した。
県は8日午後9時の時点で、付近の8世帯31人が避難所に避難していると発表した。土砂崩れの現場の先にある集落の住人。高齢者が多く、迂回して戻るのに時間がかかるため、避難所に残っているという。
【写真】約250人態勢で捜索が行われた建設会社「相生組」や住宅の土砂災害現場=8日午後4時35分、椎葉村下福良
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