「スロー地震」解明期待 3年間データ分析へ 日向灘から観測機材回収 京大など研究グループ
2020年9月13日
日向灘沖で起きる「スロー地震」を研究している京都大防災研究所宮崎観測所や東京大地震研究所などの研究グループは12日、同沖の海底に設置していた観測機材の回収を終え、宮崎市の宮崎港に帰港した。約3年間にわたる観測は終了し、今後はデータを解析して同沖で起きる地震の特徴やメカニズムの解明を目指す。
スロー地震は極めてゆっくり断層がずれて起きる地震。人は揺れを感じないが、専門家は巨大地震や津波との関係性を指摘している。
グループは2017年から日向灘沖で観測を始めた。今回回収したのは18年、宮崎市などの海岸から東50~150キロ沖の海底に沈めた観測機材19台。9日から回収しており、12日は宮崎港への帰港後、地震計などを内蔵した重さ80~150キロの機材を慎重に船から降ろした。今後、東京大へ運び、内部に記録されたデータを取り出す。
宮崎観測所の山下裕亮助教(観測地震学)が、18年以降に同沖で起きた地震で注目するのは、宮崎市などで19年5月10日に震度5弱を観測した地震。マグニチュード(M)6・3と地震の規模が大きく、誘発されたスロー地震が記録できた可能性があるという。
山下助教は13年から同沖で調査しており、同沖では2年に1度ほどのペースで規模の大きなスロー地震が起き、場所によって発生頻度が異なることなどが分かったという。
山下助教らは11月から同沖で新たな観測プロジェクトを開始予定。山下助教は「全てのスロー地震が巨大地震につながるわけではないが、特徴が分かれば減災に役立つ。研究を進めたい」と話した。
【写真】地震計などを内蔵した観測機材を船から慎重に運び出す関係者=12日午前、宮崎市・宮崎港
その他の記事
津波避難高台の供用開始 3千人超収容、県内最大 宮崎市・一ツ葉地区 2020/10/2
大淀、小丸川流域で治水 水系ごとの協議会設立 2020/9/29
椎葉土砂崩れ3人不明 休日返上懸命の捜索 2020/9/22
延岡竜巻きょう1年 被害教訓市対策を強化 被災農家や洋菓子店記憶胸に復興歩み 2021/5/5
空港で起震車体験など防災展 2020/9/20
「スロー地震」解明期待 3年間データ分析へ 日向灘から観測機材回収 京大など研究グループ 2020/9/13
県内避難所「満員」62カ所 台風10号 情報発信の在り方課題 2020/9/10
台風10号椎葉土砂崩れ 中腹で発生上部も崩落 国交省専門家チーム分析 2020/9/9
激しい雨捜索阻む 台風10号椎葉4人不明 2020/9/8
椎葉土砂崩れ4人不明 台風10号 1人負傷自力で脱出 事務所、住宅巻き込まれる 2020/9/8