今を生きる宮崎の
女性のための定期講座
みやざきレディース倶楽部グレイス(宮崎日日新聞社主催)の本年度第1回定期講座は23日、宮崎市のメディキット県民文化センターであった。書道家の武田双雲さんが「人生が変わる〜言葉の力・書の力〜」と題して講演。ユーモアを交えて人生を楽しく生きる秘訣(ひけつ)などを語り、約千人が聞き入った。
熊本県で生まれ、3歳から書道家の母武田双葉さんに師事。「小学生の時、先生や友人の字が気になって勉強に集中できなかった」「年賀状の仕分けのアルバイトは、はがきの字にいちいち興味が湧いて作業が進まず、すぐに首になった」などと自分の生い立ちを面白おかしく紹介。
幼少の頃から両親に教えられてきた、人や物に感謝、感動する心を忘れないことで、人生がうまく回り始めたことなどを振り返り、「周りと協調することを心掛け、表情を少し明るくするだけで、楽しい人生は向こうからおのずとやって来る」と訴えかけた。
「イクメン」としても知られる武田さんは、子育てについても持論を語り、着替えをうまくさせる工夫として、「早く着替えなさい」ではなく「(あなたの)ファッションショーが見たい」などと子どもの好奇心をくすぐることの大切さなどを強調した。
みやざきレディース倶楽部グレイス(宮崎日日新聞社主催)の本年度第2回定期講座は4日、宮崎市のメディキット県民文化センターであった。作家でエッセイストの阿川佐和子さんが「私が出会った人々」と題して講演。来場者約1100人を軽妙な話術で魅了した。
作家・阿川弘之さんを父に持つ阿川さんは執筆活動のほか、テレビ、ラジオ番組などで幅広く活躍。講演では、自身が出演する番組や雑誌の対談などで出会った著名人らとのエピソードを、ユーモアを交えて語った。
友人と2人で会場を訪れていた国富町本庄の小学校教諭鳥原菜穂子さん(39)は「講演を聞き、阿川さんがさまざまな人との出会いを大切にされてきたことがよく分かった」と話していた。講演終了後には直筆サイン入りの著書が販売され、多くの来場者が買い求めていた。県看護協会による無料健康相談もあった。
みやざきレディース倶楽部グレイス(宮崎日日新聞社主催)の本年度第3回定期講座は12日、宮崎市のメディキット県民文化センターであった。脳科学者で人間性脳科学研究所所長の澤口俊之さんが「脳を活かして健康ライフ」と題して講演。脳が老化する仕組みや若返りの方法などを語り、来場した約千人が聞き入った。
澤口さんは、脳の前頭前野には、目的や夢に向かって計画的に努力する未来志向の能力(人間性知能)があり、脳全体をコントロールしていると説明。「前頭前野の機能は加齢によって真っ先に低下する。そのため、年齢を重ねると、夢や好奇心、探求心がなくなったり、感情が制御できず怒りっぽくなったりする」と解説した。
また、人間性知能が高い人は、仕事でも成功し、離婚率も低いほか、見た目年齢も若くなると語った。その上で「この能力は20歳がピークだが、夢を持つことで何歳になっても向上させることができ、脳はどんどん若返る。有酸素運動や、ビタミンCを取ることも効果的なので、生活に取り入れてほしい」と呼び掛けた。
みやざきレディース倶楽部グレイス(宮崎日日新聞社主催)の第4回定期講座は28日、宮崎市のメディキット県民文化センターで開いた。ファッション評論家のピーコさんが「片目を失ってみえてきたもの」と題し講演。左目を摘出し落ち込んだ時期を乗り越え、生まれた心境の変化などを赤裸々に、かつ軽妙に語り、詰め掛けた千人が笑いに包まれる場面もあった。
ピーコさんは1989年夏に悪性黒色腫の診断を受け、左目を摘出。抗がん剤の影響で秋ごろに髪が大量に抜け出したといい、「気分がどんどん落ち込んだ。生まれて初めて自殺しようと思った」と話す一方、「人間って現金なもので、新しく毛が生えるだけでうれしくなって」とユーモアを交えて語った。
5年たったころ、友人らが「ピーコにきれいな義眼を贈ろう」と呼び掛け、300人が賛同したエピソードも紹介。「『誰かに生かされている』と考え方を変えた。『自分のため』が後になり、誰かの役に立ちたいと思うようになった」と明かした。すると周囲から「気持ちよく生きているね」と言われるようになったとし、「誰かのためになる生き方をしてほしい。世の中の見方も変わる」と訴えた。
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