ドライアイ
宮崎県医師会 眼科医会 馬渡夏子
2024年11月21日掲載
ドライアイは涙の量や質が低下することで目に不快感や視力の問題を引き起こす病気です。主な症状は、「目が乾く」、「ゴロゴロ感」、「かすみ目」、「異物感」、「目の疲れ」などです。 これらの症状が続くと、読書や運転、パソコン作業が困難になり、日常生活に支障をきたすことがあります。
加齢による涙の質や量の変化などが発症の要因に
涙は水分、脂質、粘液の三層から構成され、目の表面を保護しています。年齢とともに涙の質や量が変化することで、涙の膜が保たれにくくなる、または、まばたきによる摩擦が強くなってしまいます。涙の質や量の問題だけでなく、まぶたの炎症や機能低下、また糖尿病や膠原(こうげん)病などの内科疾患の関与など、さまざまな要因が重なることでドライアイが発症しやすくなるため、原因や診察の結果に応じた適切なケアが必要です。
点眼薬で治療環境改善も有効
ドライアイの治療には、症状に応じて点眼薬が処方され、涙の質や量を改善します。近年では涙液の三層(水分、脂質、粘液)のうち、不足している層に応じて点眼薬を使い分ける治療方法が推奨されています。また、日常生活でも、パソコンやスマートフォンの使用時に定期的な休憩を取り、まばたきを意識することが大切です。他にも加湿器を使用して室内の乾燥を防ぐことや、コンタクトレンズの装用時間を見直すことなど環境の改善も有効です。
重度のドライアイに対する治療法の一つに「涙点プラグ」があります。涙の出口である涙点に栓をして、涙の排出を遮断することでドライアイの症状を和らげる効果が期待されます。
早期の適切なケアが大事
デジタルデバイスが普及している現代社会において、ドライアイは誰にでも起こり得ますが、早期に適切なケアをすることで目の健康を維持し、日常生活での不快感を軽減できます。目の乾きや疲れを感じたら、自己判断せずに眼科医に相談し、適切な治療を受けましょう。