肩関節のストレッチ
宮崎県医師会 整形外科医会 川越正一
2024年12月19日掲載
肩関節に痛みと動きの制限を生じる四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の治療ですが、症状が出現して1~2週までの初期の急性期には、痛みが出ないよう生活を工夫して炎症の拡大や遷延(せんえん)化を抑えることが大事です。急性期を過ぎると炎症で硬くなった肩関節周囲の筋肉のセルフストレッチが必要です。
ストレッチについて
可動域制限が強い場合は、図1のようなストレッチを行い、体を前傾して重力で肩を回します。
ひねる動きが硬い場合は、あおむけでのストレッチ(図2)をお勧めします。
必要性
慢性期に硬くなった筋肉の範囲と程度により、動きの制限が生じる方向と程度に違いが出ます。筋肉の柔軟性は自然に回復しにくいためストレッチが必要です。
注意点
最も大事なのは勢いや反動をつけずに少しずつ伸ばすことです。 筋肉は急激に伸ばされると、断裂を防ぐために反射的に縮むので、勢いをつけたストレッチは効果がなく、逆に筋肉を痛める危険性もあります。息を止めずに深呼吸をしながら硬い方向にゆっくり動かし、限度のところで5秒~10秒止めて、その後さらにゆっくり元に戻します。
方向と回数
特に内側や外側にひねる動作、肘を後方に引く動作などは制限が強く生じやすいです。動きが悪い方向に、ゆっくり10回程度、朝、昼、夜に行ってください。特に入浴後が効果的です。
ポイント
縮んだ筋肉を伸ばすストレッチには痛みを伴うことが多いです。どの程度の痛みが許容範囲なのかは重要です。ストレッチを行った後や翌日に、前日以上の痛みが生じている場合は、翌日のストレッチを中止または軽めにするなどの調節を行ってください。
症状が強い場合や持続する場合は、医療機関での運動器リハビリが必要です。肩関節周囲炎以外が原因の場合もあるので、ぜひ整形外科を受診してください。
炎症で硬くなったら柔軟性を取り戻すためにゆっくりとしたストレッチを