災害弱者に目配りを 避難所生活の留意点
2011年2月1日
霧島連山・新燃岳の噴火活動を受け、高原町は30日夜、避難勧告を発令した。今後の推移によっては避難が必要になる地域も出てくるだろう。噴火による避難生活は、地震や台風よりも先行きが見えにくく、慣れない環境から心理的疲労も蓄積しやすいとされる。冬場だけに、インフルエンザなど病気の感染も心配だ。避難所生活を乗り切るためには何が大切になるか。被災地支援などに取り組む関係者らに取材し、自衛策などをまとめた。
■高齢者や持病に備え
阪神・淡路大震災など国内各地で被災者支援に取り組んできたNPO法人「レスキューストックヤード」(名古屋市)。新燃岳のニュースに、栗田暢之代表理事は「都市部に比べると、住民同士で顔の見える関係がある地域だろう。避難者の人数もまだ小規模のようなので、(ストレスがたまるといわれる)避難所生活も現時点では過度な心配はいらないかもしれない」と話す。
ただし、「不安が重なると体力も落ちやすく、別の避難者の風邪をもらったりしやすくなる。災害弱者といわれる高齢者や持病を持っている人は特に備えが大切だろう」と指摘する。阪神・淡路大震災では、慣れない生活の中で風邪をこじらせるケースも多かったという。
■相談しやすい環境を
では、避難者はそれぞれでどんなことに気を付ければいいのか。阪神・淡路大震災の教訓を基に、災害情報を発信する拠点施設「人と防災未来センター」(神戸市)の主任研究員、宇田川真之さんは「基本的な対策を徹底させてほしい」と話す。
避難所となる体育館や公民館は、室温が上がりにくいため、毛布や衣服など防寒用具が欠かせない。持病のある人は常備薬も必需品だ。インフルエンザを予防するため、多くの人が集まる避難所内ではマスクを着用。睡眠を取ること、小まめな手洗いやうがいも必要だ。
一方、宇田川さんは「地震や津波に比べて、火山の噴火はいつ収まるのか先が見えにくいという特徴がある。蓄積する不安によるストレスが最も心配」と指摘する。保健師など行政のスタッフには、避難者が相談しやすいよう「話し掛けやすい雰囲気で接してほしい」と求める。
■エコノミークラス症候群
新潟県長岡市などが被災地となった中越地震(2004年10月)では、長時間、同じ体勢で座るなどして血栓ができる「エコノミークラス症候群」が問題になった。暖房もあり、ラジオから災害情報も得られる自家用車に宿泊した避難者の体調が急変し、亡くなるケースが相次いだ。
また、避難所でトイレに行かないで済むよう水分補給を控えていた女性が、血栓ができやすい脱水状態になり、死亡した例もあった。
同市危機管理防災本部は「時々、軽い体操やストレッチをして予防することが大切。小まめに水分を取って、血栓ができない体の状態を保ってほしい」と呼び掛ける。
【写真】傘を差して歩く住民。日常とは違う生活で、大切になるのはやはり互いの目配り、支え合いだ
■高齢者や持病に備え
阪神・淡路大震災など国内各地で被災者支援に取り組んできたNPO法人「レスキューストックヤード」(名古屋市)。新燃岳のニュースに、栗田暢之代表理事は「都市部に比べると、住民同士で顔の見える関係がある地域だろう。避難者の人数もまだ小規模のようなので、(ストレスがたまるといわれる)避難所生活も現時点では過度な心配はいらないかもしれない」と話す。
ただし、「不安が重なると体力も落ちやすく、別の避難者の風邪をもらったりしやすくなる。災害弱者といわれる高齢者や持病を持っている人は特に備えが大切だろう」と指摘する。阪神・淡路大震災では、慣れない生活の中で風邪をこじらせるケースも多かったという。
■相談しやすい環境を
では、避難者はそれぞれでどんなことに気を付ければいいのか。阪神・淡路大震災の教訓を基に、災害情報を発信する拠点施設「人と防災未来センター」(神戸市)の主任研究員、宇田川真之さんは「基本的な対策を徹底させてほしい」と話す。
避難所となる体育館や公民館は、室温が上がりにくいため、毛布や衣服など防寒用具が欠かせない。持病のある人は常備薬も必需品だ。インフルエンザを予防するため、多くの人が集まる避難所内ではマスクを着用。睡眠を取ること、小まめな手洗いやうがいも必要だ。
一方、宇田川さんは「地震や津波に比べて、火山の噴火はいつ収まるのか先が見えにくいという特徴がある。蓄積する不安によるストレスが最も心配」と指摘する。保健師など行政のスタッフには、避難者が相談しやすいよう「話し掛けやすい雰囲気で接してほしい」と求める。
■エコノミークラス症候群
新潟県長岡市などが被災地となった中越地震(2004年10月)では、長時間、同じ体勢で座るなどして血栓ができる「エコノミークラス症候群」が問題になった。暖房もあり、ラジオから災害情報も得られる自家用車に宿泊した避難者の体調が急変し、亡くなるケースが相次いだ。
また、避難所でトイレに行かないで済むよう水分補給を控えていた女性が、血栓ができやすい脱水状態になり、死亡した例もあった。
同市危機管理防災本部は「時々、軽い体操やストレッチをして予防することが大切。小まめに水分を取って、血栓ができない体の状態を保ってほしい」と呼び掛ける。
【写真】傘を差して歩く住民。日常とは違う生活で、大切になるのはやはり互いの目配り、支え合いだ