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【SNS特報班】黒マスク 威圧的?

2024年7月8日
 県介護支援専門員協会に「黒色マスクを着用されると威圧感がある」といった意見が利用者などからあったとして、ケアマネジャー(ケアマネ)業務中に着用するマスクの色について一考を求めるメールが、同協会から届いた。色選びは個人の自由であり、一律の呼びかけに違和感がある。【60代男性】

 県内のケアマネの男性の元に、同協会からメールが届いたのは5月中旬。「ケアマネが黒いマスクを着用して自宅に訪ねてくると威圧感があり、発言や行動が高圧的に感じる」「黒いマスクはやめてほしいが、ケアマネに伝えることができない」という利用者の声や「施設に来る際は黒いマスクは遠慮してほしい」といった介護施設から要望が届いていると報告。「勤務中の衣類などと同様に、マスクの色についても一考する機会を検討してほしい」という内容だった。

 男性は「初対面など利用者らと関係性を築けていない場合には、黒いマスクに対して威圧感があるというのは分からなくもない」と一定の理解を示す。一方で「今やマスクの色もファッションの一部。そういった声があったのなら、個別に伝えればいいだけではないか」と話す。

 同協会にメール送信の意図を尋ねると、岡崎浩司事務局長は「前提として黒色マスクの着用を否定する意図はない」と断言。ただ、「ケアマネに対するマイナスイメージはできる限り払拭したい。『黒いマスクをしていると良い印象を受けない』という声を耳にした以上、考える機会を作ってはどうだろうかという提案だった」と振り返る。

 実際、黒色マスクの着用は人に与える印象が良くないのだろうか。北海道大大学院文学研究院の河原純一郎教授(認知心理学)らの研究では、コロナ禍前(2016年)とコロナ禍の最中(20年)を比べると黒色マスク着用者に対する印象が「不健康」だと感じる割合は半減。一方で、黒色マスクに対するマイナスイメージは、コロナ禍前後でも変化がなかったことも分かった。

 河原教授は「黒は悪や死などネガティブな概念や『強さ』との結びつきが強く、忌避されがち」と指摘。その傾向はコロナ禍で黒色マスクが普及してもなお残っており「医療や介護現場など『優しく接する』ことが前提の場では、黒色マスクが与える印象が強めに受け止められたのだろう」と推測。「マスクの色選びに関しては、個人の自由に委ねられるのではないか」と話している。

【写真】黒や白、ベージュなど色のバリエーションが豊富なマスク。黒色に対する皆さんのイメージは?(写真はイメージ)

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