2025年01月15日17時22分
賃上げした企業の法人税を減税する「賃上げ税制」のうち、従業員のリスキリング(学び直し)など教育訓練費を増やせば税控除額が広がる制度の実態を会計検査院が調べたところ、延べ1万社近くで訓練費の増額分を上回る税控除を受けていたことが15日、分かった。中には5万円の訓練費増で約200倍の1千万円超の控除を受けた例もあった。訓練費を上回った総額は約214億円に上る。
費用負担の何倍もの減税を受けられる制度設計となっており、検査院は「賃上げを促すために税負担を軽くする仕組みとして、適切ではない恐れがある」と指摘。設計した経済産業省や財務省に対し、制度自体の検証と見直しを進めるよう求めた。両省は「指摘に対しては適切に対応する」などとしている。
教育訓練費増額による上乗せ控除の仕組みは、人材投資に積極的な企業の支援を目的として、2018年度の税制改正で追加された。
当初の仕組みでは、大企業の場合、訓練費を前年度より20%増やせば、賃上げ総額の5%相当額が上乗せして控除された。現在は適用条件が一部変わっている。
【写真】 賃上げ税制のイメージ