2025年01月20日15時08分
大阪市生野区で2018年、聴覚支援学校に通っていた井出安優香さん=当時(11)=が交通事故で死亡し、将来得られたはずの「逸失利益」が争われた損害賠償請求訴訟の控訴審で、大阪高裁は20日、判決を言い渡した。「健常者と同じ職場で同等に働くことが十分可能であった」として、逸失利益を全労働者の賃金平均から減額せず、計約4365万円の支払いを命じた。平均の85%とした一審大阪地裁判決を変更した。
未成年の障害者を巡る逸失利益が争点。遺族側が障害を理由に減額すべきではないとして控訴していた。
徳岡由美子裁判長は判決理由で、安優香さんが年齢相応の言語力と学力を身につけていたと指摘。将来はデジタル機器の進歩や社会情勢の変化なども相まって「合理的配慮がされる就労環境を獲得し、健常者と同じ条件で働くことができたと予測できる」と判断した。
事故は18年2月、大阪市生野区でショベルカーの運転手がてんかん発作で意識を失い歩道を暴走。聴覚支援学校から下校中だった安優香さんが死亡、4人がけがをした。
【写真】 重機暴走事故の控訴審判決で大阪高裁に向かう原告の井出努さん(手前)=20日午後