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知床事故、甲板員遺族と調停成立 運航会社側と、東京地裁で 

2025年01月06日17時41分
 北海道・知床半島沖で2022年に起きた観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故で、死亡した甲板員曽山聖さん=当時(27)=の両親が、安全配慮義務を怠ったとして運航会社「知床遊覧船」側に計約1億1900万円の損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁で調停が成立し終結したことが6日、分かった。合意内容は明らかになっていない。

 両親は23年2月に提訴。運航会社側は当初、請求棄却を求めていた。訴訟記録によると、地裁は昨年12月12日付で調停手続きへの移行を決定。調停成立に伴い、同25日付で訴えが取り下げられた。

 訴状で両親側は、運航会社には船の安全確保のために設備などを管理する義務があったと指摘。同社社長の桂田精一被告(61)=業務上過失致死罪で起訴=は、必要な実務経験がないのに運航管理者などの役職に就き、事故当日も出航中止を命じなかったとして「重過失どころか故意が認められる」と主張していた。

 事故は22年4月23日に発生。乗客乗員計26人が死亡、行方不明となった。
【写真】 海面上までつり上げられた観光船「KAZU 1」=2022年5月、北海道斜里町沖