2025年03月18日06時49分
【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は17日の記者会見で、トランプ米政権による国際開発局(USAID)の事業削減について、これまで達成してきた「疾病対策や予防接種などの進展が逆行する」と述べた。影響はさらに拡大するとし、米国には「(医療施設などが)代替の資金源を見つけられるようにする責任がある」と指摘した。
USAIDは米国の対外援助を担当する。テドロス氏によると、USAIDを通じた資金の提供が打ち切られ、マラリア関連の医薬品や物資の供給に混乱が発生。この状況が続けば今年中に1500万人がマラリアに罹患し、10万7千人が死亡する恐れがあるという。エイズウイルス(HIV)感染症や結核の治療でも活動が危機にひんしている。
テドロス氏は「世界の公衆衛生への支援を通じて国際的な感染拡大を防ぐことで、米国もより安全になる」と強調し、米国に再考を促した。
【写真】 スイス・ジュネーブのWHO本部(AP=共同)