ウクライナ侵攻2年
2024年2月24日
◆ロシアへの制裁圧力必要だ◆
ロシアのウクライナ侵略戦争が3年目に入る。兵力と弾薬で勝るロシアが支配地域を拡大、ウクライナが目指す「ロシア軍の占領地からの完全撤退」は実現不可能との見方が強まり、米欧ではウクライナに和平を促す声も浮上している。第2次大戦後の国際秩序を踏みにじったプーチン・ロシア大統領が求める「和平」はウクライナの降伏に等しい。国際社会はロシアの勝利を許してはならない。
戦線はほぼ膠着(こうちゃく)状態で、双方の軍の死傷者数は数十万人規模に達したとみられる。ウクライナ民間人の死者は1万人を超えており、人命尊重の観点から即時停戦すべきだ。
昨年の反転攻勢に失敗したウクライナは、今年は「積極的防衛」に徹して態勢を立て直し、来年に再び攻撃に転じる戦略を描く。しかし、米欧からの軍事、経済支援が停滞しており不透明だ。
2年間の戦争でウクライナもロシアも疲弊したが、ロシアの軍需産業の回復は予想外に早かった。2024年の国防費は国内総生産(GDP)の6%に上り、22年の3%から倍増する見通しだ。兵器を優先的に生産する戦時体制がロシア経済を支える構図となっている。
一方、ウクライナでは前線で使用する砲弾が不足し、苦戦を強いられている。米国のウクライナ支援に反対する共和党のトランプ前大統領が所属議員に圧力をかけ、議会は支援を承認できずにいる。米国の支援が途絶えればウクライナがロシアに敗れるのは必至とみられる。
プーチン氏は2年前、ウクライナの電撃制圧に失敗した。しかし、ウクライナの反転攻勢の失敗、米欧支援の停滞、11月の米大統領選に向けたトランプ氏の快進撃という「ロシア有利」な状況に余裕を取り戻した。ウクライナに親ロシア政権を樹立し、北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止する戦争の目的は不変だと公言している。
米大統領選の結果が行方を大きく左右する。バイデン大統領が続投すれば、ウクライナの徹底抗戦が続くが、トランプ政権が復活すれば、ウクライナに圧力をかけ、領土の犠牲を伴う「和平」を締結させるシナリオが現実味を増すだろう。
欧州では、ロシアが数年内に軍事力を回復し、バルト3国などNATO加盟国への攻撃を試みるとの懸念が高まりつつある。核大国ロシアに「何をしても罰せられない」との自信をこれ以上持たせてはならない。
ウクライナ戦争は、プーチン氏がロシア軍を撤退させれば直ちに終わる。日本を含む民主主義社会はロシアに対する制裁圧力と、ウクライナへの武器、資金供与を継続すべきだ。
ロシアのウクライナ侵略戦争が3年目に入る。兵力と弾薬で勝るロシアが支配地域を拡大、ウクライナが目指す「ロシア軍の占領地からの完全撤退」は実現不可能との見方が強まり、米欧ではウクライナに和平を促す声も浮上している。第2次大戦後の国際秩序を踏みにじったプーチン・ロシア大統領が求める「和平」はウクライナの降伏に等しい。国際社会はロシアの勝利を許してはならない。
戦線はほぼ膠着(こうちゃく)状態で、双方の軍の死傷者数は数十万人規模に達したとみられる。ウクライナ民間人の死者は1万人を超えており、人命尊重の観点から即時停戦すべきだ。
昨年の反転攻勢に失敗したウクライナは、今年は「積極的防衛」に徹して態勢を立て直し、来年に再び攻撃に転じる戦略を描く。しかし、米欧からの軍事、経済支援が停滞しており不透明だ。
2年間の戦争でウクライナもロシアも疲弊したが、ロシアの軍需産業の回復は予想外に早かった。2024年の国防費は国内総生産(GDP)の6%に上り、22年の3%から倍増する見通しだ。兵器を優先的に生産する戦時体制がロシア経済を支える構図となっている。
一方、ウクライナでは前線で使用する砲弾が不足し、苦戦を強いられている。米国のウクライナ支援に反対する共和党のトランプ前大統領が所属議員に圧力をかけ、議会は支援を承認できずにいる。米国の支援が途絶えればウクライナがロシアに敗れるのは必至とみられる。
プーチン氏は2年前、ウクライナの電撃制圧に失敗した。しかし、ウクライナの反転攻勢の失敗、米欧支援の停滞、11月の米大統領選に向けたトランプ氏の快進撃という「ロシア有利」な状況に余裕を取り戻した。ウクライナに親ロシア政権を樹立し、北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止する戦争の目的は不変だと公言している。
米大統領選の結果が行方を大きく左右する。バイデン大統領が続投すれば、ウクライナの徹底抗戦が続くが、トランプ政権が復活すれば、ウクライナに圧力をかけ、領土の犠牲を伴う「和平」を締結させるシナリオが現実味を増すだろう。
欧州では、ロシアが数年内に軍事力を回復し、バルト3国などNATO加盟国への攻撃を試みるとの懸念が高まりつつある。核大国ロシアに「何をしても罰せられない」との自信をこれ以上持たせてはならない。
ウクライナ戦争は、プーチン氏がロシア軍を撤退させれば直ちに終わる。日本を含む民主主義社会はロシアに対する制裁圧力と、ウクライナへの武器、資金供与を継続すべきだ。