防災ニュース
県内避難所「満員」62カ所 台風10号 情報発信の在り方課題
2020年9月10日
台風10号に備えて開設された県内26市町村551カ所の避難所で、7市7町の62カ所が満員となったことが9日、宮崎日日新聞のまとめで分かった。新型コロナウイルスの感染対策で収容人数を減らしたのに加え避難者が多かったことが要因で、自治体は近隣の避難所を紹介したり、新たに開設したりして対応。強風雨の中で移動を強いられた住民もおり、開設する避難所数や情報発信の在り方が課題として残った。
県によると、県内の避難者は2万2677人で、13人の死者が出るなどした2005年の台風14号(1万2790人)の1・8倍。宮崎、都城、日南、日向、小林、西都、串間市、高千穂、日之影、門川、川南、高鍋、新富、木城町の一部避難所が満員となり、延岡市は定員を設定していなかったものの一部施設が混雑し、別の避難所に誘導した。
串間市では過去最多の636人が避難。市は避難所を6カ所増やして12カ所で受け入れた。防災行政無線で新たに開設した避難所を通知し、大きな混乱はなかったが、市危機管理課の江藤功次課長は「特別警報級という情報で早めに避難した人が多かった。今後はあらかじめ避難所を増やすことを考えたい」と話す。
宮崎市は69カ所の避難所を106カ所に増やし、ホームページや防災メールで収容状況を随時発信したものの、満員の施設を訪れる住民も。市地域安全課の齋藤裕美子課長は「インターネットなどで情報を得る手段を持たない人への周知方法も考えなければいけない」と課題を挙げる。
NPO法人県防災士ネットワークの伊藤照夫事務局長は「行政側は発信する情報が避難所の状況と時差が生じないよう周知方法を見直し、住民側は親戚宅やホテルなど避難所以外の選択肢も事前に考えておく必要がある」と話している。
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