液状化、本県も備えを
2018年11月14日
最大震度7の揺れを観測した9月の北海道地震で、住宅や道路に大きな被害をもたらした土地の液状化に対し、県内の専門家も備えの必要性を訴えている。本県でも沿岸部を中心に発生が予測され、津波からの迅速な避難の障害となることやライフライン復旧の長期化が懸念される。専門家は複数の避難ルート確保や水などの備蓄を呼び掛ける。
県が作成した液状化可能性分布では、県内は北部山沿いを除く地域に「可能性大」の地点が点在している。宮崎市や延岡市、新富町など沿岸部に多いが、都城市や西都市など内陸部にも分布する。宮崎応用地質研究会の高谷精二会長は「砂が堆積してできた海沿いの平野部や大きな川の流域、火山灰が積もったシラス台地で可能性が高くなる」と説明する。
県内で防災活動に取り組む関係者からは、県民の液状化に対する関心の低さを懸念する声も上がる。防災講座などを開くNPO法人県防災士ネットワークの福元孝典理事は「地震や台風と違って、経験したことがないためではないか」と推測する。
宮崎大の原田隆典名誉教授(地震工学、災害学)によると、液状化そのもので人命が失われるケースはほとんどないが、道路が壊れたり電柱や塀が倒れたりし、迅速な避難や救援活動に支障が出る。1964(昭和39)年に発生した最大震度5の新潟地震では、火災現場への消防車の到着が遅れる事例があったという。
原田名誉教授は「津波の恐れがある地域では、避難ルートを複数用意しておくべきだ」と訴え。「地域の細かな状況まで行政や専門家はカバーしきれない。正しい防災知識を備えた人材を地域内で育成する必要がある」と求める。
液状化が起きると地盤が緩むため、電柱の建て直しや水道管の再埋設にも影響が出る。福元理事は「電気や水道などのライフラインの復旧が通常より遅れる可能性がある」と指摘。「各家庭で長期化を見越し、水や食料などの備えを考えて」と呼び掛けている。
【写真】本県の液状化可能性分布(県作製の分布図を基に作成)
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