女性消防団員、活躍広がる 10年で108人増、県内全市町村確保
2018年12月4日
高齢化や人口減少により、地域防災の要となる消防団員の減少が続く中、県内で女性団員が増加し、活躍の場を広げている。消防庁の調査によると、今年初めて県内の全26市町村で女性団員を確保。4月1日現在の団員数(速報値)は390人で、2008年以降の10年間で108人増えた。主に救急救命法の指導や啓発活動といった役割を担う一方で、男性と同じように火災現場に出動する女性もおり、担い手不足を補う一助になると期待される。
県消防保安課によると、啓発活動や救急救命法の指導といった女性団員の役割を明確化するなど、各市町村が受け入れ態勢を整えたことが増加の要因とみられる。
高原町消防団で、初の女性団員となった和牛繁殖農家の原田三奈代さん(23)=高原町広原=は「男性に負けないよう、できることを少しずつ増やし、地域の力になれるように頑張りたい」と力を込める。
女性団員の活動は、救急救命法の指導や1人暮らしの高齢者宅訪問、消防団加入への啓発などがメイン。県消防協会の松山勝昌常務理事は「女性ならではの気配りなど男性とは違った視点を持っており、住民の防災意識の向上に一役買っている」と効果を感じている。
担い手不足は深刻化している。県内の全団員数は4月現在1万4533人(速報値)で、過去最少だった昨年からさらに116人減った。自治体が必要と定める「条例定数」の充足率は91・5%にとどまる。条例定数を満たすのは4町村のみで、8市町村は90%を下回る。
女性が男性と同じ役割を担う消防団も出てきた。門川町では15年以降に入団した女性計10人が全員、男性と同じように火災現場に出動する。
今年は県内の入団3年以内の女性団員らを対象に毎年行う基礎研修で、初めて放水訓練を実施。女性の火災現場での消火活動を見据えたもので、指導に当たった県消防学校の担当者は「担い手不足の影響で今後、女性団員の役割が拡大していくことは考えられる」と、狙いを語る。
県消防保安課は「女性団員は消防団活動に欠かせない存在。今後も入団者が増えるよう、取り組んでいきたい」としている。
【写真】火災現場への出動を見据え、初めて実施された放水訓練に取り組む原田さん(右)=宮崎市の県消防学校
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