被災地学び、生かす 復興支援本県学生、防災意識向上へ催し
2019年3月11日
教訓、本県に生かして-。宮崎市の団体が、東日本大震災の被災地を県内の大学生に見てもらい、復興支援や住民との交流を通じて、備えの大切さなどを学んでもらう事業に取り組んでいる。学生らは学んだことを生かし、県内で防災について学ぶイベントなどを開催。南海トラフ地震の発生も懸念される本県の課題や、災害時に自分たちができることを考えながら活動している。
この取り組みは、同市の一般社団法人「みやざき公共・協働研究会」(代表理事・原田隆典宮崎大名誉教授)が、2014年から県の委託事業として実施。これまでに20人以上が岩手、宮城県を訪ねた。昨年8、9月には仙台市内の震災遺構を見学し、住民と意見交換。住民同士の絆を再生する目的で現地のNPO法人と協力して子ども食堂を開き、持参した地鶏などを調理して振る舞った。
「訪問前は、ニュースなどを見て復興している印象があった」という宮崎大地域資源創成学部3年の高村泰成さん(21)。視察した同市・荒浜地区では、小学校の2階まで到達した津波の爪痕などが色濃く残り「想像以上の被害に言葉が出なかった」という。
復興住宅では住民から現状を聞き取り「被災後、高齢者の孤独死や治安の悪化を防ぐためにも、自治会をはじめとした顔が見える関係性をつくることが大事」と学んだ。
栄養教諭を目指す南九州大健康栄養学部3年の今藤さやかさん(21)は「冷えきった食べ物でも貴重だったため、食べざるを得なかった」と現地で聞かされた。非常時でもできる調理法や非常食の重要性を再認識したという。
今月9日、同研究会が宮崎市で開催した「防災子ども食堂」には、小中学生約40人が参加。高村、今藤さんら学生と、洗い物を出さないコメの炊き方を実践したり、災害での注意点をかるたの読み札風にまとめたりした。子どもたちには「避難場所を家族と話し合って決めたい」「防災グッズをそろえたい」などと好評だった。
県内の学生でつくる「県わけもん防災ネットワーク」の代表も務める高村さんは「震災をひとごとと考えている人もいる。若い世代が防災について発信し、考えるきっかけをつくりたい」と意気込む。今藤さんは「災害に備え、被災地を思いやる人が一人でも増えてほしい。宮崎と東北の子どもたちの橋渡し役になりたい」と決意を新たにした。
【写真】津波被害を受けた荒浜小で、当時の状況などを聞く学生ら。左上は津波が到達した高さの表示=昨年9月、仙台市(みやざき公共・協働研究会提供)
その他の記事
日向灘「活動期」か 宮崎大名誉教授(地震工学)原田隆典さん 2019/5/11
宮崎、都城 震度5弱 2019/5/11
宮崎、都城 震度5弱 M6.3、日向灘震源 2019/5/11
霧島連山防災マップ刷新 避難方向や壕、分かりやすく 2019/4/5
新たな浸水想定公表 県管理瓜田川など15河川 2019/3/29
延岡で震度4 県内全域揺れ観測 2019/3/28
災害時所在不明者と死者、氏名公表方針を提示 県防災会議 2019/3/21
県防災ヘリ相互応援協定 長崎加入、5県運用に 2019/3/19
御鉢噴火レベル基準公表 気象庁、防災対応呼び掛け 2019/3/14
被災地学び、生かす 復興支援本県学生、防災意識向上へ催し 2019/3/11