防災みやざき

宮崎、都城　震度５弱

2019年5月11日

　「下から突き上げるような揺れだった」「車が左右に揺れた」?。宮崎市や都城市で震度５弱の地震が発生した１０日、大きな揺れに見舞われた県内は緊張が高まった。全校集会の中断や行事の日程変更を強いられるなど学校生活にも影響した。病院やホテルではエレベーターが緊急停止。水道管破損の影響で断水となる地域も出るなど、市民生活にも支障が出た。

　宮崎市・宮崎大付属小（日高和広校長、５９８人）では、太平洋戦争の宮崎空襲で犠牲になった児童を供養する集会「いとし子命の集い」の最中に地震が発生。揺れが始まると体育館が音をたててきしみ、児童たちはこわばった表情を見せた。

　「頭を手で覆い床に伏せて」。児童たちは教諭らの指示に従い、床に伏せたまま３、４分、完全に揺れが収まるのを待った。動揺する低学年の児童には担任らが「大丈夫だよ」と言い聞かせ、落ち着かせた。日高校長は「パニックを起こさないように声を掛け続けた」と振り返った。

　宮崎港に近い同市・宮崎港小（吉冨俊文校長、４４２人）では、津波が発生する可能性もあると判断。３階建て校舎の屋上に全校児童を避難させた。津波の恐れがないことを伝える気象庁の発表を

受けて避難を解除。吉冨校長は「日頃の訓練を生かして、落ち着いて行動できた。今後も大きな地震が起こる可能性があり、最悪の事態を考えて行動したい」と警戒を続ける。

　同市教委によると、市内では１２小学校が校外学習を予定していたが、青島小が青島海水浴場での遠足を校内に切り替えるなど６校が場所を変更、２校が延期や中止を決めた。大淀小や木花中では渡り廊下と校舎を連結する金具の破損などの被害が確認された。日南市・飫肥小は堀川運河で予定していたチョロ船の乗船体験を中止した。

　病院やホテルでは、エレベーターの緊急停止が相次いだ。２階に外来スペースがある宮崎市の県立宮崎病院では、車いすの患者の受診が困難になった。病院職員が車いすごと患者を抱え、階段を上って２階まで案内した。エレベーターは順次復旧し、患者が閉じ込められたケースはなかったという。

　同市にある地上４３階建てのシェラトン・グランデ・オーシャンリゾートも、８台のエレベーターすべてが停止。２台が復旧するまでの約２時間、エレベーターが一切使えない状況となった。ホテル側は昇り降りする客が復旧を待つ場所を提供し、朝食時間を延長するなどして対応。施設内の安全確認や客への状況説明などに追われた。

　同市の宮崎観光ホテルでは地震の発生時、窓際で朝食を取っている宿泊客が揺れに驚き、室内中央に避難したが、目立った混乱はなかったという。

【写真】水道管が破損し、勢いよく噴き出す水道水＝１０日午前１１時３２分、宮崎市大島町