大災害時OB「出動」 宮崎市消防団が新団員制度
2019年7月28日
南海トラフ巨大地震など、大規模災害時の対応人員不足に備えようと、宮崎市消防団(高橋昌久団長)は「大規模災害団員」制度を導入し、27日に発足式を行った。団員・市消防局職員OB98人を任命し、避難所の運営補助や団本部、消防局などへの連絡役を担ってもらう。制度導入は九州で3カ所目、県内では初めて。経験を生かしたサポート役としての活動が期待される。
市消防局総務課によると、同市消防団の通常の団員数は14分団2449人(4月現在)。条例定員に対する充足率は93%と高い水準を維持する。
ただ、県の被害想定によると、南海トラフを震源とするマグニチュード(M)9クラスの地震が起きた場合、同市では沿岸部を中心に、最大震度7の揺れと高さ16メートルの津波に襲われるとされ、被害が広範囲に及ぶと対応する人員が不足する恐れが大きい。
大規模災害団員は団本部に所属し、震度6弱以上の地震や大津波警報の発令があった場合に消防団長が出動を要請。避難所などにいて被害や避難状況を団本部に伝達する。建物10棟以上が延焼するような大規模火災や、避難が長期にわたる豪雨災害などでの出動も想定する。
同市の宮崎東諸県広域防災センターであった発足式には団員51人が出席。高橋団長が「改めて団員になってもらい心強い。全国で甚大な災害が続いており、常に発生に備えてほしい」と訓示し、出席者に辞令を交付した。
団員の平均年齢は61・1歳で、最高齢は80歳。団・市消防局の幹部経験者や救急隊、消防隊の経験者など専門知識を持つ人も多い。元市消防団副団長で7年ぶりの「復帰」となる串間忠雄さん(69)=宮崎市源藤町=は「身の引き締まる思い。経験を生かして現役団員を支えたい」。元市消防局東分署長の東友幸さん(64)=同市花山手東2丁目=は「的確に災害状況を判断して、消防局や団員の橋渡しをしたい」と話していた。
【写真】団員OBらに大規模災害団員の辞令を交付した発足式=27日午前、宮崎市・宮崎東諸県広域防災センター
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