被害、南北に広範囲 「06年竜巻と同じ」証言も
2019年9月23日
延岡市で22日に発生した竜巻とみられる突風。市などに寄せられた被害の情報から、南部の海沿いから内陸部に向かって北上したとみられる。突風の発生を受けて宮崎地方気象台職員は現地を緊急調査。被害は広範囲に及んでおり、23日も調査を継続する。
同市消防本部に「車が横転している」と第一報があったのが、午前8時41分。同市災害対策本部などによると、突風による被害は市南部の海岸沿いに位置する緑ケ丘=地図(1)=から、別府町=(2)、出北、昭和町、日の出町、桜園町=(3)、中川原町=(4)、夏田町=(5)、桜ケ丘=(6)=まで南北を縦断する形で確認されている。市職員の目撃情報も加味すると、突風は南から北へ進んだとみられる。
市への第一報からさかのぼって午前8時35分、延岡署へは「旭町4丁目の旭化成工場の上空に竜巻がある」と最初の通報があった。
突風を目撃したという同市別府町の農業濱田昌男さん(72)は、「風が南から樹脂製の建材を巻き上げながら迫ってきて、北北西へと進んでいった」と証言。同町は2006年の竜巻で多くの住宅が被災しており、濱田さんは「前回の竜巻と同じルートだった」と話す。
また、同市昭和町1丁目の無職西井達雄さん(69)は「午前8時半ごろ、自宅2階にいたらゴーという音がし、地震かと思うくらいの揺れを数秒間感じた。窓の外をみると近くの電柱が北側に向けて倒れており、南から北へ向けて竜巻が進んでいくのを見たという近所の人もいた」と話している。
市の情報などを基に、同気象台は職員6人で現地調査に当たった。調査班は、南北2班に分かれ被災地を巡回。損壊した建物の規模や倒木の方向などを調べるとともに、被災者への聞き取りを行った。しかし、被害が広範囲に及ぶため、「被害につながった気象状況を1日で判断するのは難しい」として、調査を継続することを決めた。
同気象台の所克博次長によると、市に被害の情報が入り始めた午前8時半ごろには、同市南部の日向灘上空で積乱雲が発達。同9時すぎにかけて市中心部を北へ移動したのが観測されている。
【写真】突風で押しつぶされたビニールハウス=22日午後1時1分、延岡市夏田町
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