土砂搬出先の確保難航 県、民間へ協力呼び掛け
2019年9月17日
防災・減災対策として、県が2020年度までの3年間で行う河川掘削工事で生じる土砂約200万立方メートルの搬出先の確保が難航している。公共工事で出た土砂は通常、道路の盛り土や堤防かさ上げなど別の公共工事で活用するが、国の国土強靱(きょうじん)化対策を受け短期間で多くの掘削を行うため、搬出先は現時点で約半分しかめどが立っていない。県は盛り土などを予定している民間から搬出先を募る初の取り組みに乗り出した。
県河川課によると、河川の底に土砂がたまると水の流れが阻害され浸水被害の原因となる。県は昨年度から20年度までの3年間で、県管理の476河川のうち過去に浸水被害が発生するなどした158河川での掘削工事を予定している。
近年の河川掘削工事で出た土砂は年間平均約10万立方メートル。これに対して20年度までの3年間の工事では、3年間で約200万立方メートルの土砂が発生する見込み。
公共工事で発生した土砂は通常、おおむね50キロ以内で行われている別の公共工事で利用するほか、市町村からの情報提供を受け民間の造成地に持ち込むこともある。しかし、搬出先が遠いと輸送費がかさむため、現場近くでの確保が課題となっている。
県建設業協会の藤元建二副会長は「一時的に掘削工事が増えたものの、以前に比べて公共工事が減っているので受け入れられる現場が少ない。協会も協力しているが、土質が合わないと受け入れられないので搬出先を探すのは容易ではない」と話す。
県は民間に7月からホームページなどで告知。これまでに十数件の問い合わせがあり、現地の視察や土地所有者の意向を聞き、条件と合えば搬入を始める。受け入れ対象は、300坪の土地を約1メートルかさ上げする量となる「千立方メートル以上」で輸送費は県が負担する。
同課は「土地の埋め立てや盛り土の予定があれば、最寄りの県土木事務所などに相談してほしい」としている。
【写真】加江田川で進められている土砂の掘削工事=宮崎市加江田
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