ごう音、市街地襲う 台風17号延岡突風
2019年9月23日
「ゴーッと爆風のようなごう音がした」「家が吹き飛ばされそうだった」。大型の台風17号の影響で22日午前8時半ごろ、延岡市で発生した竜巻とみられる突風。同市内では鉄塔が倒壊し、住宅の屋根瓦が飛散、店舗のガラスが割れるなどの被害が相次いだ。ガラスの破片などで負傷した多数の市民が救急搬送され、中心市街地にサイレンが鳴り響いた。台風に備えていた連休中の朝の市街地は大混乱に陥った。
JR延岡駅では、照明の付いた高さ約30メートルの鉄塔に飛ばされた貨物コンテナが衝突し、民家のすぐ脇に横倒しになった。駅敷地内には重さ約1・8トンのコンテナが多数横転。コンテナが自宅を直撃した線路脇に住む同市桜園町の自営業塩見金次郎さん(70)は、「食事中に突然爆風のようなゴーッという音が聞こえ、バリバリバリと続いた。ごう音で何も聞こえなくなり恐ろしかった」と驚きを隠せない様子だった。
市街地のあちこちで切れた電線が垂れ下がり、至る所で通行止めになった。同市昭和町の国道218号沿いのレンタカー店では、看板が大きく折れ曲がり落下した。同市川原崎町の主婦(54)は、運転していた車が突風にあおられて消火栓に衝突。「風の渦ができていることに気付き停車した途端、車が横に流されて後部ガラスが割れ、とても怖かった」と声を振り絞った。
同市夏田町の老人ホームさくらの杜では食堂のガラスが割れ、入所者4人が軽いけがを負った。施設職員の松田祥吾さん(35)は「外に置いてあった洗濯機が吹き飛ばされるほどの暴風だった。状況によっては、もっと大きな被害が出たかもしれない」と声を震わせた。
自宅の屋根を吹き飛ばされた同市桜園町の嘱託職員原尾繁信さん(72)は、「家が飛ばされるかと思った。柱につかまって必死に耐えた。風雨に備えてすぐブルーシートを張ったが、多くの家で修理が必要だろう。これからどうなるのか」と不安げな表情。
同市中川原町のスーパー周辺も甚大な被害。割れた窓ガラスの破片が自宅の部屋に散乱した同所の主婦伊藤節子さん(78)は、「竜巻注意報が出た直後にごう音が聞こえ、その場にうずくまった。2006年の竜巻と同じかそれ以上の激しさだった」と振り返った。
【写真】JR延岡駅敷地内の高さ約30メートルの鉄塔にコンテナが衝突し、大きく折れ曲がった=22日午前10時8分、延岡市桜園町
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