「終わり見えない」延岡竜巻、災害ごみの搬出苦慮
2019年9月28日
台風17号の接近に伴い、22日に竜巻が襲った延岡市で、住宅被害を受けた高齢者らが災害ごみの搬出に苦慮している。各地に災害用の臨時ごみ置き場が設けられているが、瓦やがれき類、壊れた家具を運び出すのは容易ではなく、住宅近くの路上に置くしかない現状も。被災者は「いつになったら片付くのか見当がつかない。少しでも人手がほしい」と求めている。
27日午前9時、竜巻被害の激しかった同市昭和町1丁目の路地には、破損した冷蔵庫や大型テレビ、住宅の外壁、ガラス片が山積みになっていた。
近くに住む1人暮らしの主婦田村アサ子さん(83)は、「路上に運ぶので精いっぱいだった」と話す。竜巻で玄関のドアや窓ガラスが全壊。部屋にはガラス片が散らばり、テレビやたんすも倒れた。両脚に障害があり、近所の住民にも片付けを手伝ってもらった。だが、住民も高齢でごみ置き場までは搬出できず、市が直接、収集に訪れた。
田村さんは「夜中までできる範囲で片付けているが、終わりが見えない。手伝ってくれる人がいると助かるが、今は不安で夜も眠れない」と日常を取り戻せずにいる。
同所の農業久世和義さん(82)は妻の勝代さん(86)と2人暮らし。屋根瓦が破損したため、自分で屋根に上りブルーシートを張った。和義さんは「屋根に壊れた瓦が残っているが、自分で外すのは難しく、危険。雨が続く予報なので、雨漏りも心配」と疲労の色をにじませる。
市も災害ごみ収集に全力を挙げる。市資源対策課によると、これまで収集した災害ごみは、可燃ごみは34トン、不燃ごみは64・5トンに上る。災害ごみ対策として、市は一日5、6回収集車を出動させ、委託業者にも通常収集後に臨時出動を依頼。市内には臨時のごみ置き場が6カ所設けられているが、同課は「ごみ置き場まで搬出できない高齢者も多い。自宅近くまで収集に来てほしいという要望にもできるだけ対応したい」としている。
【写真】路上に積み重なって置かれている大量の災害ごみ=27日午前、延岡市昭和町1丁目
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