新燃岳噴火8年 高原町挙げ防災対策
2019年1月26日
霧島連山・新燃岳(1421メートル)の本格的なマグマ噴火発生から26日で8年目を迎える。節目を前にした25日、麓の高原町内の全小中学校では、被災経験や教訓を風化させないため、児童や生徒が避難訓練や防災をテーマにした授業に臨んだ。噴火活動は停滞しているが、再び活発化する可能性もあり、観光施設や町担当者らは当時を振り返り、気持ちを引き締めていた。
高原小(阪元聡校長、295人)では、新燃岳が噴火し、噴火警戒レベル4(避難準備)に引き上げられた想定で訓練を実施した。避難を指示する校内放送が流れると、児童たちはヘルメットをかぶり、運動場を抜けて学校近くの体育館に速やかに移動。保護者の迎えを待った。
授業では8年前の噴火の状況や噴火から身を守る方法などを学習。6年の工藤琉那(るな)さん(12)は「外で遊んでいるときに噴火したときには、下級生と一緒に安全な建物に避難したい」と真剣な表情だった。
11年の噴火で、町内には大量の灰が降り積もり、噴石で車のガラスが割れたほか、自主避難する町民も出るなど、生活も大きな打撃を受けた。以降、町では防災無線の設置や砂防ダムの建設などの防災対策が進められている。18日には約1年3カ月ぶりに噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)に引き下げられたが、同町総務課の内村秀次課長は「自然相手なので安心できない。町民に確実に避難情報を届けられる態勢づくりなどを進めたい」と語る。
17年10月と18年3月に噴火活動が再開し、断続的に噴火が続いた。
同町皇子原公園では、噴石に備える避難壕(ごう)を設置し安全対策を進める。宿泊客を避難所まで誘導するためのマニュアルも作成した。管理する町観光協会の有馬定治係長は「万が一噴火しても、安全が確保できることをPRしたい」。えびの高原などを案内するえびのガイドクラブの上園信一事務局長も新燃岳の一連の噴火で、観光客の安全を守る必要性を痛感している。「観光客の安全を守るため、教訓を忘れない」と気持ちを新たにした。
【写真】新燃岳が噴火した想定で、避難所の体育館を目指す高原小の児童たち=25日午後、高原町西麓
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