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段差が不便視覚表示を 障害者避難、共に気付き

2019年3月2日

 「避難所に障害者向けのスペースを」「視覚情報による案内も必要」。宮崎日日新聞社が宮崎大などと実施した1日の「みやにち防災ワークショップ 考動学〜考える・動く・学ぶ」では、避難や避難所運営について障害者本人から具体的な提案が相次いだ。共に訓練に臨んだ住民や学生らにとっては、地域防災に生かす貴重な学びの場となった。

 宮崎市のこどものくに周辺で実施した、障害者が働く工房「ANA青島ファクトリー」の訓練では、最寄りの避難場所へ向かう途中にある橋が崩壊した場合を考え、1キロ離れた高台への避難も体験。家屋の倒壊で通りにくくなりそうな場所や、行き止まりの道があることを確認した。

 同工房が年数回行っている訓練では通常、健常者2人で障害があるスタッフを誘導しているが、同日は訓練を2グループに分けて実施したため1人で担当。同工房事務職員の熊谷亮(まこと)さん(35)は「人に合わせて行動することが苦手なスタッフもおり、後ろに目配りしながら1人で先導する難しさが分かった。障害があるスタッフにも避難時のリーダー役を決めておく必要がある」と語った。

 学生が企画した宮崎大での訓練には聴覚や知的障害、肢体不自由など障害者10人ほどが参加し、学生や地域住民と同じグループになって指定避難所となっている学内の危険箇所を点検。避難所生活で必要な配慮をテーマにした意見交換では、「おにぎりの配給時は聴覚障害者向けにカードなどでの視覚情報も必要」「手話が使えるなど支援に回れる避難者がいないかも確認して」といった意見が出された。

 電動車いすで参加した同市中西町のNPO法人職員、森愛実さん(27)は「参加者がいろいろ尋ねてくれたので、必要な支援を言い出しやすかった。避難所運営ではコミュニケーションが重要なことが分かった」。訓練に携わった同大学地域資源創成学部1年那須優矢さん(19)は「何げなく通っている段差も障害者にとっては不便になることを実感した」と話した。

 その後の座談会には、参加者9人が出席。同市自立支援協議会会長で脳性まひのある永山昌彦さん(64)は「障害者が家族と過ごせるスペースを設けるなど、避難所での選択肢を増やして」と要望。みやざき公共・協働研究会理事の出水和子さんは「南海トラフ巨大地震に対応するためにも、今回学んだことを発展させながら訓練を続けることが大切」と訴えた。

【写真】障害のある人から具体的な提案が出された避難所運営訓練=1日午後、宮崎市・宮崎大

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