宮崎、都城震度5弱1週間
2019年5月17日
県内の一部の小中学校やJR九州は16日、南海トラフ巨大地震の発生などを想定した避難訓練を実施した。日向灘を震源とする震度5弱の地震が発生してから17日で1週間。地震や津波への防災意識が高まる中での訓練に、「最善の行動を探り、マニュアルを改善させる」「いつ地震が起きても身を守れるよう心掛けたい」と気を引き締めた。
国富町・木脇中(川越康孝校長、159人)は10日の地震発生時、教室にいた生徒が運動場に避難。しかし、頭を保護せずに避難したり、自動体外式除細動器(AED)を持ち出さなかったりと、反省点が見つかった。
このため、地震発生前から計画していた16日の訓練では、机の下に身を隠して待機した後、生徒たちは頭を教科書などで守りながら、迅速に運動場へ避難。3年の市吉栞菜(かんな)さん(14)は「いつ、どこで地震が起きても身を守れるように心掛けたい」と意識を高めていた。
海抜3メートル、海岸から150メートルに位置する串間市・金谷小(二渡孝一郎校長、33人)は津波を想定した避難訓練を実施。全校児童がライフジャケットを着用し、5、6年生が1年生の手を引いて400メートル先の高台まで駆け足で逃げた。6年の轟颯月(ふうが)君(11)は「津波が来たら、訓練したように率先して避難したい」と真剣な表情を見せた。
延岡市教委は地震発生を受け、市内の小中学校43校の避難行動について調査。その結果、約半数は机の下に隠れただけで避難を終え、残り半数は、グラウンドや校舎の上階、高所へと避難しており、対応にばらつきがあった。
同市学校教育課の高森賢一課長は「今回のように津波の恐れがない場合の避難など、現場には難しい判断が求められる。常に最善の行動を探り、マニュアル改善につなげてもらいたい」と力を込める。
JR九州宮崎総合鉄道事業部も、川南町の日豊線高鍋?川南間で避難誘導訓練を実施した。障害者団体なども参加し、「災害弱者」を含めた乗客の誘導を確認した。
海沿いを走行中に震度6強の地震が発生したと想定し、ワンマン特急列車を非常停止。車いすの参加者をほかの乗客が協力して抱え、脱出用の滑り台を使って線路まで降ろした。その後、避難階段を使うなどして高台を目指し、24分で避難を終えた。
聴覚障害のある山本明夫さん(44)は「運転士が車内で呼び掛けていた内容が聞こえないため、逃げるのか待つのか分からなかった。ジェスチャーや紙を掲げるなどして知らせてほしい」と指摘した。
【写真】避難訓練で教科書などを頭に載せ、屋外に避難する生徒=16日午後、国富町・木脇中
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