小さなお店で味わえる ほっと落ち着く家庭の味
2024年02月01日掲載
小里 千代美さん
『チハナ』 店主
宮崎市花ヶ島で手作りの弁当や総菜を販売している小里千代美さん。この仕事を始める前は、パンフレットやチラシなどのデザイン制作に携わりながら、東京や沖縄などでさまざまな職場を体験してきました。そして、12年前、宮崎出身の夫とともに宮崎市へ移住したそうです。
会社勤めの窮屈さにずっとストレスを感じていた小里さんは、いつかは自分で事業を展開したいと思っていました。そして数年前、夫の定年退職と子どもが大きくなったことをきっかけに思い切って起業。料理を作ることと食べることが好きという理由から、2019年に花ヶ島で弁当と総菜の『チハナ』を開業し、彩りあざやかな料理を提供しています。
弁当を通して人とつながる
“おうちのご飯のようなほっとする味”を目指し、季節に合わせた野菜やメニューなど、バランスが取れた家庭で作るような弁当を毎日手作りしている同店。毎日大変なこともあればうれしいこともあるといいます。
「以前、チハナのお弁当を食べた子が、私の料理をきっかけに食に興味を持って、調理師専門学校の道を選んだという出来ごとがあったんです。その時は、私の料理が誰かの人生に携われたといううれしさがあふれたと同時に気が引き締まる思いでした。“誰かにとっての何かにつながるようなものを作りたい”、これからもそんな思いを抱きながら、料理を通してたくさんの人と関わっていきたいですね」と小里さんは思いを話します。
未経験だった経営を通して精神面でも大きな変化があったという小里さん。「責任の所在は自分以外にある」という“他責”の思考から、何度も大きな問題と壁に当たった際に、「責任の所在は自分にある」という“自責”の思考にだんだん変化していったそうです。以来、一生懸命考えて問題解決に取り組むことによって、周りの人に助けられながらも店舗を続けてこられているといいます。
思い切って始めた弁当・総菜屋で、誰かの人生だけでなく、自分の人生の主軸も作ることができた小里さん。今後も料理を通じて、多くの人とのつながりと家庭の味を届けていきます。