【特集・宮崎大会】大会総評
宮崎商堅守で頂点 ノーシード校躍進
第90回全国高校野球選手権記念宮崎大会は21日、第3シード宮崎商が39年ぶり6度目の優勝を果たし、2週間余りにわたる熱戦の幕を閉じた。宮崎商はミスを恐れない積極果敢な守りで全6試合の失策がわずか5。堅実なグラブさばきは攻撃に流れを呼び込み、混戦を抜け出す大きな力になった。
昨年からエースナンバーを背負う好投手がそろった大会にふさわしく、本塁打は昨年の11本から4本に減少。1回戦から接戦が繰り広げられ、引き分けを含めた2点差以内は19試合と、全試合の3割強を占めた。
宮崎商の赤川克紀は最後の夏にたくましく成長した姿を見せた。力で押して三振を奪うだけでなく、緩急をつけた巧みな投球で頂点を極めた。連投となった準決勝以降3試合は30イニングで4失点。暑さをものともせず、驚異のスタミナで厳しい連戦を乗り切った。
準優勝の第1シード日南学園は有馬翔、中崎雄太の左腕2人が引っ張った。ともに昨夏の甲子園経験を生かし、チームを勝利に導いた。惜しくもあと一歩で2年連続の大舞台は逃したが、有馬は防御率1・84、中崎は0・68と安定ぶりが際立っていた。
5年ぶりの4強をつかんだ第7シード都城東は、主戦上田翔也の力投が光った。丁寧にコーナーを突き、凡打の山を築いた。準決勝は宮崎商を相手に232球を放り、延長15回引き分けの激闘を演じた。第8シード宮崎農の本吉大志は3回戦、抜群の制球力で九回一死まで無安打無得点。快挙にあと2人と迫ったが、3連打で逆転され、涙をのんだ。
2年生の健闘も目を引いた。日章学園・那須裕志は初戦に完投勝ちを収めるなど8強入りに貢献。宮崎工・佐藤千斗は堂々としたマウンドさばきで日南学園を苦しめた。ともに新チームの核として注目したい。
シード校は明暗が分かれた。延岡学園は守りからリズムをつくる持ち味を発揮。準々決勝は投打がかみ合ってコールド勝ちし、4強に進んだ。宮崎日大、日向学院、都城商は持てる力を出し切れず姿を消した。
代わってノーシード校が躍進。昨年の8強進出は1校だったのが、ことしは3校が食い込んだ。主戦・那須が踏ん張った日章学園は3年生13人全員がメンバー登録。スタメン、ベンチ一体の全員野球で勝利をもぎ取った。鵬翔は試合を重ねるごとに打線が力強さを増し、3回戦で第4シード日向学院を破った。都城農は多彩なバント攻撃で揺さぶり、点を積み重ねた。
今大会は初回に守りが乱れ、そのまま敗れるチームが少なくなかった。ミスからの失点を防ぎ、粘り強く戦ったチームは上位に残った。それぞれが手にした収穫、課題を元に、日ごろから集中力を養い、基本に忠実な攻守を磨いてほしい。実戦で普段の力を存分に発揮できるチームづくりに期待したい。(高校野球取材班)
アーカイブ
2008年07月24日付 大会総評-宮崎商堅守で頂点 ノーシード校躍進2008年07月03日付 大会展望-好投手そろい混戦 上位シード勢一歩リード
2008年07月01日付 夢舞台をつかめ<5>-【日南学園】有馬翔 中崎雄太
2008年06月30日付 夢舞台をつかめ<4>-【宮崎日大】宇戸 直哉
2008年06月29日付 夢舞台をつかめ<3>-【都城西】川上 武大
2008年06月28日付 夢舞台をつかめ<2>-【都城東】上田 翔也
2008年06月27日付 夢舞台をつかめ<1>-【宮崎商】赤川 克紀