【特集・宮崎大会】夢舞台をつかめ<2>
【都城東】上田 翔也
「逃げ出したいほどのプレッシャーがあった」。昨夏の全国選手権宮崎大会2回戦。大会初登板となった都城東の先発上田翔也はわずか44球で退いた。
フォーム、制球ともにバラバラで2回2失点。「気持ちの強さが足りなかった」と苦い思い出を振り返り、「このままでは駄目だ。やり直さなければ…」。屈辱が上田を一回り大きくさせた。
身長174センチ、体重62キロ。細身の体から直球、カーブなどのコンビネーションで打たせて取る。中でも高校入学後に覚えたスライダーは切れ味鋭い。1年生時からバッテリーを組む捕手内村紀文も「ピンチのときにはさらにすごみが増す」とエースに全幅の信頼を置く。
課題はコントロールの甘さ。不用意な四死球が多かった。制球を安定させるため、走り込みやウエートトレーニングで下半身を強化。スタミナもつき、3月にあった九州地区大会県予選準々決勝で成果の一端を示した。日南学園相手に、丁寧に投げ抜き3安打、2四死球で完封。昨年の甲子園出場校を破っての4強入りに「好投手に投げ勝てたことは大きい」と手応えを口にした。
さらに甲子園県予選の前哨戦となる今月の県選手権。優勝候補の一角・宮崎商に四死球ゼロで勝利を収めるなどし準優勝。本番へ弾みをつけた。
兄の影響で小学2年から野球を始め、「チームの中心として活躍できる」と、ポジションはずっと投手。河野譲次監督も「高校3年生らしからぬ冷静さがある。負けず嫌いな性格で投手向き」と評価する。
日に200球を投げ込み、追い込んでからの有効球の研究にも熱心。制球力は増し、いい形で本番を迎える。年間を通して1点差ゲームを数多く経験し、1点の重みを知る上田は「無駄な出塁と失点だけは絶対に許さない」。おとなしい外見とは裏腹に、胸に秘める熱い思いでチームを鼓舞する。
【写真】制球力が増し、一回り成長した都城東・上田翔也。無駄な出塁と失点は許さない
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2008年07月24日付 大会総評-宮崎商堅守で頂点 ノーシード校躍進2008年07月03日付 大会展望-好投手そろい混戦 上位シード勢一歩リード
2008年07月01日付 夢舞台をつかめ<5>-【日南学園】有馬翔 中崎雄太
2008年06月30日付 夢舞台をつかめ<4>-【宮崎日大】宇戸 直哉
2008年06月29日付 夢舞台をつかめ<3>-【都城西】川上 武大
2008年06月28日付 夢舞台をつかめ<2>-【都城東】上田 翔也
2008年06月27日付 夢舞台をつかめ<1>-【宮崎商】赤川 克紀