優勝争いは絶対的な本命不在の中で混沌(こんとん)としている。今春の九州地区大会で8強に入った第1シード都城商が最も頂点に近い存在か。だが、例年以上に戦力差はなく、優勝旗を手にするチャンスはどのチームにもある。1回戦から1点を争う好ゲームが繰り広げられそうだ。
対抗はウルスラ
Aパートは都城商が軸。新西貴利、藤本雄也の投の二枚看板を擁し、伝統の粘り強い試合運びで勝機をつかむ。右腕新西は最速143キロの直球で押し、課題の制球が良ければ簡単に安打を許さない。左腕藤本は緩急巧みにコーナーを突き凡打の山を築く。打線は主砲内田祥文ら一発長打の選手が並び力強い。
対抗1番手は聖心ウルスラが有力。主戦米田雄一は制球が良く、バックが丁寧にアウトを積み重ねる。犠打を絡めた手堅い攻めで活路を開く。高鍋は新人大会4強と力がある。都城商との初戦を乗り切れば一気に抜け出す可能性が高まる。しぶとさが光る都城泉ケ丘、日向も上位をにらむ。
昨秋の再現狙う
最激戦区はDパート。第2シード宮崎日大は1年生からマウンドに立つ左腕宇戸直哉が立ちはだかる。堅守を誇り、やすやすとホームを踏ませない。打線は切れ目がなく、小技を絡めた攻撃で競り合いに強い。昨秋制した九州地区大会県予選の再現を目指す。
それを阻みそうなのは都城東、日章学園、小林西か。昨年の4強超えに燃える都城東は、前チームからベンチ入りする伊崎祥を中心に着実に1点を積み重ねる。日章学園は大会屈指の本格派右腕那須裕志に注目。打線はパンチ力がある片平元気らが並び、破壊力を秘めている。小林西は好機にそつなく得点し、チーム一丸となって守り切る。
混戦予想の「C」
Cパートも混戦が予想される。第3シード宮崎学園は、九州地区大会県予選で昨秋4強、春は準優勝と力が安定している。捕手の宮元啓輔が攻守でチームを引っ張り、エース宮内貴史は巧みな投球術で抑える。終盤の逆転勝ちが多く、波に乗ったら止まらない。それだけに前半の出来が勝敗を左右する。
第6シード宮崎商は昨夏を制した「守り勝つ野球」が健在。中学時代から活躍する1、2年生が多く面白い存在だ。宮崎第一は大黒柱最上奨吾を中心に戦力が整っている。宮崎工はシードを逃したが、完成度は高い。新人大会で準優勝の延岡工、4強の佐土原も攻守にすきがない。
層厚い延岡学園
Bパートからは延岡学園が頂点をうかがう。新チーム発足後は結果を出せなかったが、前哨戦の県選手権を20年ぶりに制し第4シードに滑り込んだ。エースで4番の吉岡知晃が投打の要。2年生左腕坂元悠貴、同選手権で3番を務めた1年生濱田晃成ら実力派の下級生が控えており、選手層は厚い。
宮崎農はスタメンの大半が2年生と若い。各打者がコンパクトなスイングを貫き、県内屈指の爆発力を秘めた打線が奮起できるか。日南学園は春の九州大会県予選で信樂晃史ら投手陣の活躍でベスト4に入った。打線の踏ん張り次第では、2年ぶりの甲子園も夢ではない。