串間市都井の諏訪浜で波間から顔を見せるすわちゃん
串間市都井の諏訪浜で見つかったアザラシの「すわちゃん」が浜に居着いて1カ月以上たち、6日も波間から元気な姿をのぞかせた。休日になると海岸が県内外からの家族連れでにぎわう人気ぶりに、観光誘客の呼び水として地元の期待も高まる。
「水族館でしか見たことなかったけど、やっぱりかわいい」。2人の子どもと都城市から訪れた主婦、永久井弘子さん(37)は「すわちゃん」が海中から顔を出すと声を弾ませた。
6月5日に最初に目撃され、当初は数日で居なくなるかと思われていたが、滞在は長期化。オホーツク海や北海道沿岸などに生息するゴマフアザラシとみられ、九州で確認されるのは非常に珍しい。
休日の堤防沿いはひっきりなしに車が止まり、スマホやカメラを手にした見物客が訪れる。地元住民も様子をうかがいに足を運ぶなど、すっかり「アイドル」となった。
「最近は人に慣れてきて、堤防近くまで来るようになった」と、近くで観光客向けの定置網体験を行う川﨑義成さん(61)。「何とか今後も観光客の呼び込みにつながれば」と期待を込める。
ただ、大分市の水族館うみたまごの担当者は「餌が豊富で居心地が良いので居続ける可能性もあるが、ゆくゆくは移動するのでは」と推測。いつまで滞在するかは分からない。
串間市の佐藤強一副市長は「市としても串間をアピールするチャンス。いつまでも居てくれることを願うしかない」と話し、「何かPRにつながるような手を検討したい」としている。