24年間無休で焼き芋屋台の営業を続けた藤田さん
飲食店が立ち並ぶ高鍋町の中心部で屋台の焼き芋店を営む藤田修さん(65)=同町北高鍋=は1991年から今年1月27日まで24年4カ月、無休で営業を続けた。その日数8888日。高鍋の夜に欠かせない名物屋台として、風雨に負けず街頭に立ち続ける。
藤田さんは同町にあった南九州大に在学中、サークルの資金稼ぎに焼き芋屋台を始めた。74(昭和49)年に卒業後は故郷の茨城県で高校教師として勤め、園芸の勉強のため渡欧。帰国後、冬の間は暖かい思い出の地・高鍋で過ごそうと焼き芋屋台を始め、そのまま居着いている。
連続営業のスタートは91年9月。本県を台風19号が襲った同27日に休み、翌28日から営業。その後、しばらく休んでないことに気づいた藤田さんは「どれだけ連続営業を伸ばせるか」と挑戦し始めた。いろんな数字を検討し、末広がりの8を並べようと今年1月まで営業を継続した。
多くの被害が出た93年の台風13号以外にも、2007年にはマムシに左手親指をかまれるなど、営業を脅かす災害やアクシデントはたびたび。10年の口蹄疫でも街から人通りが消え、売り上げが少ない苦しい日々を過ごしたという。
焼き芋には県産の宮崎紅を使い、毎日午後3時ごろから仕込みを始め、暗くなると街頭に出る。「これからは趣味の詩吟や剣詩舞、ボランティア活動、旅行などもしたい」と意欲を示す。ただ、1月28日に1日だけ休んだ後も50日余り営業を継続しており、体に染みついたリズムが抜けるにはまだ時間がかかりそうだ。