始球式をする選手にボールを渡し、声を掛ける迫田訓光さん(手前右)=9日午前、宮崎市・KIRISHIMA木の花ドーム
「一分一秒を大切にして」-。夏の甲子園宮崎大会が開幕した9日、闘病中の元スポーツキャスター、迫田訓光(のりみつ)さん(41)=延岡市=が始球式のプレゼンターとして会場を訪れた。元高校球児の迫田さんは「当たり前に野球ができることに感謝しながらプレーしてほしい」と選手らにエールを送った。
迫田さんは延岡商高3年(1993年)のとき、主将として本大会に出場。開幕試合で日章学園高と対戦し、延長十回の熱戦で勝利した経験もある。宮崎産経大卒業後はテレビ宮崎のスポーツキャスターとして、高校野球を中心に本県アスリートの活躍を報道。筋肉が徐々に衰える大病を患い、昨年12月にキャスターは退いたが、現在も県内各地でトークショーを開くなど活動を続けている。
宮崎市のKIRISHIMA木の花ドームであった開会式では、高校当時のユニホームを着て車いすで登場。観客席から「サコちゃん、頑張れ」と声援を受けると笑顔で応え、始球式のボールを選手一人一人に手渡した。大役を終え、迫田さんは「硬球がこんなに重いなんて。まさに一球の重みを感じた」。2013年に延岡学園高が県勢初の全国選手権準優勝を果たした瞬間に立ち会った経験を挙げ、「また甲子園に行きたいな」と笑顔で話した。
迫田さんの後輩たちは大会第5日の13日、第1シードの日南学園高と対戦する。森本龍平主将(17)は「自分たちが一生懸命プレーする姿で先輩を元気づけたい。初回から全力で戦う」と誓った。