スリランカ代表の元監督の後田剛史郎さん(前列中央)とヘワゲ監督(同右)、パティラージャコーチ(同左)=1日午後、宮崎市・生目の杜運動公園
宮崎市で3日に開幕する野球の第12回U18(18歳以下)アジア選手権に出場するスリランカ代表に特別な思いを抱く人がいる。かつて国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊として同国の野球代表監督を務めた宮崎大職員、後田剛史郎さん(40)=宮崎市恒久。指導した選手2人が現代表の監督とコーチに就いており、「自分が住む宮崎で、教え子が指揮するチームを観戦できるのは感慨深い」と目を細める。
後田さんは県内中学校の講師をしていた20代のとき、高校まで野球に打ち込んだ経験を国際貢献の分野で生かそうとJICAに志願。2004年からスリランカで代表チームの監督を2年間務めた。
当時、スリランカでは野球の知名度は低く、野球場は一つもない状態。後田さんはでこぼこのグラウンドで、基礎的な練習や戦術の説明など競技力向上に力を注いだ。ビニールひもで補修したグラブで生き生きとボールを追う若い選手を見て、「厳しい環境でひたむきに取り組む姿に心を打たれた。いつか日本代表との試合を見たいと強く思った」という。
今回来日した代表チーム監督のマリンドゥ・ヘワゲさん(31)、コーチのアミラ・パティラージャさん(33)は教え子。ヘワゲさんは後田さんの勧めで広島カープが開くコーチング研修会に参加。二軍チームに8カ月間帯同し、コーチング技術を磨いて監督に就任した。
ヘワゲさんと、パティラージャさんは18人の選手を連れて1日、同市内の練習場で恩師と再会。ヘワゲさんは「これまでたくさん支援してくれた日本と試合できるのは夢のよう。全力で戦いたい」と意気込みを語った。
JICAの任期を終えた後も、グラブなどの道具を調達して国際大会に駆け付けるなどサポートを続ける後田さん。4日の日本対スリランカ戦を前に「まだ実力差はあると思うが、少しずつ力は伸びている。宮崎の観客の前でいい試合をしてほしい」と話している。