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映画「しゃぼん玉」ロケ 出演陣、椎葉で完成祈願

2016年3月20日掲載

椎葉村松尾の山々をバックに、県北市町村の首長らと記念撮影する市原悦子さん(左から5人目)、乃南アサさん(同6人目)、東伸児監督(同7人目)、主演の林遣都さん(同8人目)

 直木賞作家・乃南アサさんの同名小説が原作で、椎葉村が主な舞台となる映画「しゃぼん玉」の本県ロケ開始に合わせ、同村松尾の民家セット前で19日、完成祈願の神事があった。主演の林遣都さん(25)ら出演者、東伸児監督(52)、乃南さん、製作をバックアップする県北9市町村の首長らが出席。その後の製作発表会見で東監督は「映画化のあてのないまま脚本を書いて3年。椎葉でのクランクインにこぎつけることができ、うれしい」と語った。

 映画は犯罪を繰り返し、逃避行を続ける主人公の青年・伊豆見翔人が、椎葉の村人と触れ合うことで再生していく物語。撮影は民家セットや延岡市で18日に始まった。

 神事には製作スタッフらも含め約90人が参加。林さん、主人公が人間らしさを取り戻すのに大きな影響を与える村の老婆スマ役・市原悦子さん(80)らが玉串をささげた。

 製作発表会見では、原作者の乃南さんが「15年前に自分の思うまま書いた小説が、不思議な縁とつながりで、たくさんの人の協力の下、映像化されてうれしい」と笑顔で話した。神事後、撮影現場に戻った林さん、市原さんはそれぞれ「居場所を見つけて愛を知り、変わっていく伊豆見の心の動きを大事に、繊細に表現したい」「人間本来の生を全うし、自然に寄り添って生きる原点に戻らされる作品。完成が楽しみ」とメッセージを寄せた。

 椎葉村や延岡市、門川、美郷町など県北でのロケは3月末まで、最終日の4月3日は宮崎市で撮影が行われる予定。全国公開は来年春。

 世界農業遺産に昨年認定された「高千穂郷・椎葉村地域」など県北の魅力のアピールになるとして、県北9市町村で構成する県北部広域行政事務組合(代表理事・首藤正治延岡市長)が製作費として2千万円を支援する。